実用化で「スマホの充電不要」に?
ペロブスカイト太陽電池にはすでに様々な企業が参入しているが、『エネコートテクノロジーズ』の強みはどこなのか?
【ペロブスカイト太陽電池の開発】
▼グリーンイノベーション基金事業の採択事業者
積水化学工業・東芝・カネカ・パナソニックホールディングス・リコー・エネコートテクノロジーズ・アイシン
▼中国・アメリカ・欧州などでも研究が活発化

『エネコートテクノロジーズ』加藤尚哉CEO:
「エネコートの戦略としては“多用途展開”を考えている。太陽電池というと、屋外で発電目的でやるのがほとんどだが、ペロブスカイト太陽電池は屋内でも使える。いままでの太陽電池にない使い方が期待されているので、我々はそういう用途も狙っている」
現在取り組んでいる開発の1つが、室内の小さな明かりでも発電できるペロブスカイト太陽電池。

試作品を見せてもらうと、手のひらサイズのシートにLEDランプが取り付けてある。手のひらでシート表面を覆うとランプが消え、手をどけるとすぐに点灯する。室内の明かりで発電してるのだ。
加藤CEO:
「光さえあれば発電するので、乾電池やボタン電池の代わりになる。いろんな電子機器を電池レス化することができる。また、軽い・曲がるなど体に追従性があるので服のような環境にも搭載できる。ウェアラブルデバイス、そういう切り口での活用も考えている」
今後、実用化されれば、テレビやエアコンなどの「リモコンの電池交換」や、「スマートフォンの充電」が不要になるかもしれない。
そして、大阪・関西万博では実際に服に搭載。

豊田合成(愛知・清須市)などが開発したスタッフ用のベストの背中には、エネコートテクノロジーズのペロブスカイト太陽電池が貼り付けられている。
試着した播摩卓士キャスターも「電池を背負っているという感じは全然しない」と口にするほど重さを感じさせない着心地で、例えば夏の暑い時期なら発電した電力でネックファンなどを一日中動かせるという。

「電気自動車」も充電いらずに?
2023年からは、トヨタ自動車とタッグを組んで「クルマの屋根」や「ボンネット」にペロブスカイト太陽電池を搭載することで、“充電がいらないEV”(電気自動車)の開発も進められている。
『エネコートテクノロジーズ』加藤尚哉CEO:
「年間航続距離5000キロが1つの目標。ペロブスカイト太陽電池の性能を上げるのと、もう少し搭載面積を増やす。今はペロブスカイト太陽電池が屋根にしか載っていないが、年間5000キロぐらいに増えるようなクルマも夢ではない」
――まったく充電しなくても太陽電池だけでクルマが1年動く?
加藤CEO:
「理論的にはあり得る。野ざらしの駐車場でないとだめだが平日置いておいて充電して、週末だけ使うようなドライバーには、まったく給電はいらない」