「小型サイズ」太陽電池に取り組むワケ

京都大学発のベンチャー企業『エネコートテクノロジー』で開発を支えているのは、パナソニックやシャープなど大手電機メーカーで、太陽電池や液晶パネルの開発に携わってきた“シニアの技術者”たちだ。

かつては、日本製のシリコン太陽電池や液晶パネルが世界を席巻していたが、海外勢との厳しい価格競争に敗れた苦い経験がある。
制作本部 製造部 シニアスペシャリスト 藪本利彦さん(62):
「リベンジと言うか、以前の痛い思いをしないという思いで進めたい」

特別な思いとともに開発が進むペロブスカイト太陽電池。
今後、社会で広く実用化されるためのカギが、独特な結晶構造を持つ材料をロール状のフィルムにできるだけ広く、均一に塗りつけて“量産する技術”の確立だ。

量産化が可能になれば、現在手のひらサイズで数万円の試作品も、10分の1以下の価格を目指せるとのことで、2027年からの量産化を目標に新工場の建設を進めている。
『エネコートテクノロジーズ』加藤尚哉CEO:
「小型のペロブスカイト太陽電池から取り組んでいるのには理由がある。単価が面積当たりいくらで売れるかという話だが、その場合小型のまま出す方が効率がすごくいい。メガソーラーなんかで使われるパネルは、単価がものすごく安い」
――面積当たりの価格だと、小さいものを作った方がメーカーの取り分が大きくなる?
加藤CEO:
「産業用の電力と比べると、たとえば乾電池も電力は詰まっているが単価でどっちが高いかといえば、当然乾電池の方が高いのでそれと同じ理屈」
まずはビジネスとして成立させ、収益が上がるようになったらさらに領域を広げていく。それが基本的な戦略だという。