中国勢台頭への戦略は?
ペロブスカイト太陽電池は日本で発明され、原材料のヨウ素も国内で多く産出されるため“純国産エネルギー”として期待されている。
しかし特許の申請数では、2014年以降ずっと中国に追い抜かれているのが現状だ。

――日本発の技術なので日本は有利に戦いを進めていると思っていたがそんなことはないと?
『エネコートテクノロジーズ』加藤尚哉CEO:
「研究開発のところは日本有利の要素があるが、そこから事業化の部分は必ずしもそうではない。中国などの勢力が先行しているというのが正直なところ」
日本は研究開発の能力が高くても、事業化への過程で思い切った投資ができなかったりと劣後していく事例は様々な分野で起きている。また同じことになってしまうのかー
加藤CEO:
「このまま何もしないと同じ轍を踏む可能性は正直あるので、まずは“国が産業として育成していくことが必要”。これはお金を含めて。あとは中国勢と戦って勝つのが必ずしもすべてではないので、中国勢がなかなか参入して来ないところ。我々の場合は小型ペロブスカイト太陽電池だったり、車載はトヨタという世界最強の自動車メーカーと組んでいる。この辺りは中国勢にちょっとやそっとじゃひっくり返されないと自信を持っている。まずはそういうところで力をつけていこうという戦略」
ベンチャー企業の挑戦「課題」は?
ペロブスカイト太陽電池に参入する他の企業との差別化は、あえて「小規模市場に特化」する点だ。
【エネコートのビジネスモデル】
小規模な市場に特化⇒車・ドローン・ユニフォーム・スマートフォン・宇宙など
どちらかというとニッチなところから入っていく経営戦略だが、金融・日本経済を中心に調査研究する矢嶋さんは、「お金が循環する仕組み」が必要だと話す。

『ニッセイ基礎研究所』エグゼクティブ・フェロー 矢嶋康次さん:
「スマートフォンを充電しなくていいのはものすごく便利だし、人手不足などを考えるとロボットへの搭載など使途はすごく増えていくと思う。ニッチなところで成功することでいろんなところに市場拡大の余地があると思うが、ビジネス化した時にお金を創出できて、そのお金でまた研究開発ができる、というようにぐるぐる回せるようにしないとどうにもならない。そこは別の手立てを考えないといけないのではないか」
(BS-TBS『Bizスクエア』2025年10月4日放送より)