東都大学野球リーグの名門・亜細亜大学のエースは、兵庫県の公立校出身だ。齊藤汰直投手(4年)、兵庫県立武庫荘総合時代から最速149キロ右腕として県内では知られた存在だったが、進学した亜大でエースの座をつかみ、今秋のドラフト候補として注目される存在へと成長した。高校時代も取材したことのある齊藤に、今の思いを聞くため、東京都日の出町にある亜細亜大学野球部グラウンドを訪れた。(取材・文 MBSアナウンサー金山泉)
齊藤に会うのは2021年6月以来4年ぶりだ。当時の武庫荘総合・植田茂樹監督(現・関西学院大コーチ)に許可をいただき、武庫荘総合グラウンドで当時高校3年だった齊藤のブルペン投球を見た。
齊藤は、投手コーチをつとめる谷村智啓氏(70年阪神ドラフト1位)の指導のもと、体重移動を意識しながら投球練習を行っていた。雨中での投球だったが、雨を切り裂きながらキャッチャーミットに吸い込まれていくストレートの勢いは、今でもはっきりと覚えている。
「公立校から甲子園に出場したいと思い、武庫荘総合を選びました」と話していた齊藤だったが、高3夏の兵庫大会では、優勝した神戸国際大付に4回戦で敗れ、夢舞台に立つことはできなかった。