“生臭いにおい”と、石と石の擦れ合う音
村の職員だった布川さんは、現場の田んぼに向かいましたが、わずか30分ほどで堤防が決壊し、濁流に飲み込まれそうになったと言います。

【布川陽一さん(87)】
「当日は家にも役場にも帰ることができませんでした。現場にある家の軒下で雨風をしのいだのですが、水害の時のにおい、石と石のすれ合う音、そういうものを感じ取りました」

闇夜の中で感じた説明のしようのない“生臭さ”、そして石と石がこすれ合う音。
布川さんは「自分の体が持ち上がるような、その地層の変化の上にいた」とその時の恐怖を振り返ります。