新潟県の北部、胎内市黒川地区(旧黒川村)にある胎内観音。
58年前に発生し、胎内市内で死者・行方不明者46人など大きな被害を出した『8.28水害』の後、犠牲者の冥福を祈り、災害からの復興を祈って建てられました。
そして隣にあるお堂には、女の子の顔のように見える石が収められ、あの日の記憶を静かに伝えています。
童女石が伝える58年前の水害の記憶
胎内観音の帰林殿に収められている『童女石』。

55年前に観音像が建てられた後、この地を訪れた新潟市内に住む男性が偶然見つけました。自宅に帰り石を磨いたところ、幼い子どもの顔のような模様が浮かび上がったことから、「水害で亡くなった子どもの魂が宿っているのではないか」と、このお堂にまつったといいます。

「みなさん、静かに手を合わせて頭を下げていかれますね」
こう話すのは、胎内観音を管理する奉賛会理事長の布川陽一さん(87)です。
布川さん自身も58年前の8月28日、村の職員として水害に遭いました。
【布川陽一さん(87)】
「何回か命を落としたかもしれない、よく助かったなという場面が当日は何度もありました」