集落が土石流に飲み込まれた日

一方、8.28水害がきっかけで、集落が集団移転した場所もあります。
胎内市黒川地区の坂井集落は、“日本一小さな山脈”とも言われる櫛形山脈のふもとにあります。この集落は58年前のあの日、土石流に飲み込まれました。

被災した坂井集落の様子 『8.28水害の記憶 土石流』(黒川村 刊)より

「私、バイクに乗っていたんですけれど、目の前が見えないほど白くなって、思うように走ることができませんでした」

こう振り返るのは、坂井集落に住む増子強さん(82)です。
仕事から帰宅する途中で異変に気づいた増子さんは、家までの道中にある橋が流され、徒歩で家へと戻ったそうです。
その後、避難した小屋で、ふるさとを襲う土石流を目撃しました。

県道で土や石を食い止める作業も… 『8.28水害の記憶 土石流』(黒川村 刊)より

【増子強さん(82)】
「土石流は『どーっ』と流れてきては、ある程度来ると休むんですね。そして、また『どーっ』と土砂を押してくる。そういうパターンでしたね」

増子さんは、土石流の恐ろしさを今も鮮明に覚えています。