「恋愛結婚の2人」選んだのは指宿だった
カメラメーカー「ヤシカ」の名前が入ったアルバムの1ページ目には、「新婚旅行記念アルバム 昭和36年3月24日」と万年筆らしい字で書いてあった。
中に収められた写真には、眼鏡姿の男性と、優しそうな女性が写っている。ホテルらしき建物の前で撮ったものもあれば、水辺で撮ったものもある。長崎鼻灯台などすぐに指宿と分かる場所もあったが、枚数が多い。
「全部調べるのはちょっと時間がかかるかもしれない」
そう感じた上川路さんは、アルバムを預かることにした。名刺に「1月8日アルバム預かり」と書いて八幡さんに渡した。
写真に写っていたのは、八幡さんの父・兼伍さんと母・芳子さん。どちらも福岡県内の同じ小学校で教師をしていた。芳子さんは1歳年上だった。
「新米教師として入ってきた父の面倒を、いろいろ見るうちにくっついた。恋愛結婚だったそうです」(八幡さん)
64年前、20代の2人が新婚旅行先として選んだのが指宿だった。














