結末に驚いた「あなたを奪ったその日から」
田幸 終わり方に驚いたのが「あなたを奪ったその日から」(カンテレ)です。
幼い娘をアナフィラキシーで亡くした北川景子さん扮する主人公が、その原因となったピザの会社の社長に接近するんですが、その社長の娘は育児放棄で家を出た母を知らず、主人公を母親だと思ってしまう。その子が亡くなった娘と同じくらいの年齢だったことから、連れ去ってしまって育てるんです。
明らかに犯罪なんですが、二人はすごくいい親子関係を築く。それでもラストの方でそれが露見する。これ、普通だったら主人公が罪を償った上で、時がたってから再会するみたいな展開になると思うんです。でもそうじゃない。自分の会社のせいで主人公の娘を死なせ、自分の娘を誘拐された社長の大森南朋さんが、主人公を最終的に許すんです。
育ての親として築いた親子関係を、そっちが本当の親子だとジャッジして娘を返す。主人公の罪を問わない。捕まりもせず、一緒に暮らせるようになる。これは本当はあり得ないし、だめなことなのに、法や倫理ではなく、人情でジャッジする。そして、何より私が驚いたのは、この結末に対して、よかったと感じた視聴者がすごく多かったことなんです。
影山 多かったんですか。
田幸 そうなんです。親子の絆がそのまま維持されたことに「よかったね」と感動している人が多かった。私には、罪は罪として償うという結論しか見えていなかったので、この結末の意外性と、それを喜ぶ視聴者が多かったことに驚いたんです。まあ、今の人の気持ちに沿った現代的な一つの着地点なのかなと思いました。
影山 僕は見ていなくて申し訳ありませんが、幼児誘拐で何年も月日がたってるんですよね。それは刑事事件だから許すも許さないも、捕まるんじゃないですか。
田幸 誘拐はありませんでしたという話になったんです。
影山 そんなことありませんでしたと。
田幸 誘拐はなかった、あそこは実の親子ですと社長が言う。告訴しないでくれと娘に頼み込まれて、その思いに心を打たれて、ということなんです。
影山 意見が分かれるところですね。ここまでおとぎ話にしていいのかと。
田幸 どうかと思わないでもないんですけど、最後まで寄り添って見た人たちには、感動した人が多かったんです。














