「関係人口」が地方創生のカギに

様々な取り組みで全国的に知名度が上がり海士町を訪れる人が増えていく中で、“島に移住しなくても関係を持ち続けていく仕組み”も海士町は生み出している。

2023年に始まったアンバサダー制度は、「海士町の住民ではない人が町のPRをする」というもの。

オフィシャルアンバサダーになるとデジタル名刺がもらえ、スマートフォンで読み込んでもらうと個人情報のほかに、海士町の情報が表示され島の魅力を簡単に伝えることができる。

年会費を支払うことで就任でき、年会費の金額に応じてホテル宿泊券など、海士町に滞在する時に使える特典がついてくる。

京都在住の中村多伽さんは、4月に初めて海士町を訪れその場でアンバサダーになったという。

中村さん
「多くの自治体ではあまり“関係人口”がうまくいってない。だけど海士町はそれが今うまくいっていて、もしかしたら今後の少子高齢化の日本の一番のモデルケースになるかもしれない事が起きているのが面白い」

アンバサダー制度を立ち上げたのは海士町出身の青山達哉さん(30)。「大人の島留学」の創設者でもある青山さんは、島に住まなくても海士町と関わりを持ってくれる「関係人口」をどう増やすか頭を悩ませていた。

『島前ふるさと魅力化財団』事業統括 青山達哉さん
「島留学の卒業生は初年度無料みたいな形にしているので、これから増えてほしい。一般の人には、海士町では色々なプロジェクトが結構動いているので“推しのプロジェクト”を見つけてもらい、少しでも関与が始まっていくとありがたい」

現在300人ほどのアンバサダーを数年後には2000人まで増やす目標を掲げていて、町長もこうした「関係人口」の増加に大きな期待をかけている。

大江町長
「海士町民以外の自治体経営に関わる人口がどれぐらいいるか。いってみれば非常に濃い親戚みたいな人たちをたくさん作ることが、これからの地方創生に求められているのではないか。これからが地方創生2.0で一番大事なとこではないかと思う」

(BS-TBS『Bizスクエア』2025年7月19日放送より)