万博閉幕後の大阪経済に府民から「厳しい意見」も

 開幕から約3か月が過ぎ、折り返し地点を迎えた大阪・関西万博ですが、盛り上がりは日に日に高まっています。

 博覧会協会によりますと、チケットの販売状況は7月11日時点で約1600万枚。赤字になるかならないかの「損益分岐点」となる1840万枚も射程圏内に入り、黒字化が現実味を帯び始めています。

 万博ブームの影響は周辺の地域にも。

 (グランドプリンスホテル大阪ベイ 大崎誓也総支配人)「エクストラベッドを導入したことによって、1室あたりの宿泊人数を増やした。(宿泊者は1日)150人ぐらい増えている」

 夢洲駅から1駅のこのホテルは、万博の開幕に合わせてほとんどの部屋を改装したといいます。

 (グランドプリンスホテル大阪ベイ 大崎誓也総支配人)「(万博が開幕した)4月13日以降、徐々に右肩上がりになっていて、ゴールデンウィークぐらいからはほとんど残室がないような状況」

 「万博特需」とも言える状況ですが、府民に「万博閉幕後の大阪」について聞くと…。
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 (府民 60代)「そこまで期待していないです。賃金も上がってないから」
 (府民 80代)「またもとに戻るんちゃいますか。景気がものすごく上がることはない。シビアですよ」

 聞こえきたのは「万博閉幕後の大阪に期待できない」という声でした。

 「大阪の未来」とは。その象徴として語られることが多いのが、海に囲まれ、高級感漂うホテルや迫力ある噴水が目を引く非日常的な空間、IR=統合型リゾート施設です。万博会場のすぐ隣に位置し、2030年秋ごろ開業する予定です。

 いま、現場はどうなっているのでしょうか。取材班が7月7日、大屋根リングの上から見てみると、甲子園球場約13個分の広大な敷地で工事が進められていました。カジノやホテル、国際会議場などが建設され、経済効果は年間で約1兆1400億円にものぼるといいます。

 一方、IRをめぐっては長年、激しく賛否が分かれてきました。

 2018年6月、IR整備法案が賛成多数で可決した際の衆議院の内閣委員会ではもみ合いが起きていました。ギャンブル依存症や治安の悪化などを懸念した野党が抵抗するなか、進めたのは自公と維新でした。
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 あれから7年、今年6月に開かれたIRに関する府民向けの説明会で目立ったのは「カジノ反対」の声でした。

 (府民)「カジノを大阪に作らない。これが依存症対策にとって最も大切だと思う」
 (大阪府市IR推進局 職員)「大阪の経済成長のためにIRは進めていく。懸念事項はあるが、万全の体制を講じながらしっかり進め、大阪の成長を目指したい」

 IRについて町で聞いてみました。

 (府民 30代)「もともと何もない土地なのでちょっとでも有効活用できればなと」
 (府民 30代)「カジノをするために海外へ行く友人もいる。それが日本にできるのは良いと思う」

 IRに期待する企業も。こちらの会社は身寄りのない高齢者の保証人になる事業を展開していますが、いま日本に住む外国人からの依頼も急増し、事業が伸びているといいます。取材した日も外国籍の男性が身元保証の依頼で訪れていました。

 (あかり保証 清水勇希社長)「今から就職されるんですよね?そのときの保証人を求めておられると」
 (外国籍の男性)「そうです」
 (あかり保証 清水勇希社長)「頼れる家族は日本に?」
 (外国籍の男性)「いないです」

 社長は今後、こうしたニーズが高まるのではないかと見ています。
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 (あかり保証 清水勇希社長)「IRは賛否あると思うんですが、外国人が増えて、大阪が盛り上がっていく、そして我々にとっても助けられる人が増えるという意味ではビジネスチャンスとしては捉えています」