外国人で治安悪化というイメージは? 虚か実か

メリットとデメリットを見ていきましょう。外国人をめぐるトラブル例としては、外国免許切り替え問題に端を発した交通事故。組織的ともいわれる替え玉受験。あるいはベトナム国籍者による広域窃盗団などが報じられることがあります。こうしたニュースに、これまで見聞きしてきたものとの違いを感じる人もいるでしょう。
しかし、データを見ると異なる側面が見えてきます。在留外国人の数は急増しているにもかかわらず、外国人の犯罪検挙人数は、2004年の2万9000人をピークに、ここ10年はほぼ横ばいの約1万6000人で推移しているということです。

国籍別の犯罪率を見ても、一部の国を除いて、中国や韓国、欧米諸国の人々の犯罪率は日本人と大きく変わりません。大声など、生活習慣や文化の違いからくるトラブルはあっても、「治安の悪化」と結びつけるのは早計かもしれません。
犯罪について柯隆首席研究員は日本の「犯罪のコストの安さ」、つまり罰則の軽さも一因ではないかと指摘しています。厳しい罰則で知られるシンガポールでは、今でも鞭打ち刑が存在するといい、日本は罰則が緩い、と見なされている可能性も否定できません。