「キャンプが生きがい」 移住者が見つけた絆

次に訪れたのは、こだわりのアイテムに囲まれ優雅なテントサイトを構えるソロキャンパーの男性です。2年前に奈良県から富山に移住してきたそうです。

「遠方から来て勤務先の宿舎に入っているわけじゃないですか。そうしたらやっぱり閉じ込められているというか、閉塞感がすごくて。これ(キャンプ)だけが生きがいというか」

その日の昼食は、暑さを感じる天候に合わせて選んだ冷やしうどんでした。大葉とネギを用意し、「梅シソおろし」のダシで味を決めます。

「きょう思いのほか暑いし、ちょうどよかったです」

この日、南砺市は真夏日に迫る暑さを記録しました。そんな中で食べる冷やしうどんは格別だったようです。

「正解。きょうのこのお昼に、このメニューを選んで正解。味も正解」

男性は宿舎での日常生活について語ります。「毎日自炊なんですよ。毎日そんなお金かけられないから、ろくなもの作れないじゃないですか。キャンプのときだけは、ちょっと贅沢して、昼間から飲みながらおいしいものを食べたい」

チャーシューメンマとイカの塩昆布和えも手際よく完成させた男性。「間違いない」とビールを傾けます。

知らない土地への移住で最初は不安だったという彼ですが、キャンプを通じて多くの友人ができたそうです。着ているTシャツはキャンプ仲間のグループTシャツです。

「(富山は)人が優しいですね。ここで知り合った方に誘ってもらって、グループでやってみないかって誘われたときに、最初はちょっと戸惑ったけど、うれしくて行ってみたら」

すぐに意気投合したグループは、今ではかけがえのない存在になりました。

「たまにここでソロ(キャンプ)でやっていても、ちょこちょこ仲間が寄ってくれたりとか。普段(日常生活は)会話がないじゃないですか。1人で飲んだくれているだけでしょ。うちのグループはみんな飲んだくれてますけど」

そう言いながら、ビールを一口。「うまい。もう一杯。ちゃうか」と笑う男性の表情に、キャンプが繋いだ人との絆が感じられました。