サッカーの明治安田J3リーグ ツエーゲン金沢は6日、最多入場者数を目指して満員プロジェクトを実施します。
毎試合、ゴール裏で選手を鼓舞するサポーターですがその陣頭指揮を執るのが「コールリーダー」です。

チームの応援に人生を賭ける姿を取材しました。
足繁くスタジアムに通い、声を枯らして選手を後押しするサポーター。

ツエーゲン金沢も数多くのサポーターに支えられ、毎試合、ゴール裏は真っ赤に染まります。

そんな集団を引っ張るのが、コールリーダーの真野涼輔さん29歳。
実は愛知県出身の真野さん。
石川県内の大学に進学した時、友人に誘われたツエーゲン金沢の試合に魅了され、気が付けば毎週末スタジアムに通っていました。
そして、5年前自ら志願し、コールリーダーに就任しました。

愛するクラブのために人生の全てを捧げる真野さん。
今年、ある大きな決断をしました。
真野涼輔さん「引っ越ししたて。まだ段ボールもあるし」

大学卒業後は地元の愛知県で就職し、試合の度に金沢へ通っていましたがこの春、さらにサポーターを増やすため、金沢への移住を決断しました。
真野涼輔さん「家業ってこともあって戻らんといかんかったんで、地元戻ったんですけど、どうしてもツエーゲンの応援っていうのはもう切っても切れないところまでもう入り込んでるっていうか、金沢に転職するっていう決断をしました。(Qその時の両親の反応は?)泣いてましたよ」

4月、転職し、金沢市内で梱包や資材を扱う専門商社に勤めています。
会社の同僚「教えられることが多いんですけど、やっぱりこまめにメモ取ったりしてるんで、そこでやっぱりちょっと真面目だなっていう印象は受けてますね」
「落ち着いた雰囲気の方なのに、内に秘めるものって結構熱いものがあるんだなっていうのは朝礼とかサッカー好きな話とか聞いてて感じますね。(Qちなみにツエーゲンの試合観に行ったことは?)ありません」
生活の中心は全てツエーゲン、大きな覚悟と共に金沢で新しい生活が始まりました。
真野涼輔さん「おはようございます。(Qまだ朝5時半ですけど)いや、ちょっと遅いかもしれん」
ツエーゲンはこのゴールデンウィーク、アウェー3連戦ともあってサポーターも遠征で大忙し。
3日、長野県で行われた松本山雅FCとの一戦では早朝からの出陣です。
真野涼輔さん「(Q普段、アウェーの会場行く車内ではどんな会話してるんですか?)全然別の話してて、でも、スタジアムに着いて降りたらスイッチ切り替えるみたいな。そんなイメージですよね」
金沢から車でおよそ4時間。
真野さんたちがスタジアムに到着するとすでに試合を待ちきれない金沢サポーターが集まっていました。
試合の5時間前から会場入りして準備に臨みます。
開場を前に応援時の注意事項などが説明され、まずは横断幕を設置。

キックオフに向け、コールリーダーの仕事は山積みです。
サポーターの士気を高めるため、この一戦にかける思いを横断幕にしたためます。

真野涼輔さん「サポーターの士気が上がりそうなことをチャント(応援歌)の歌詞も合わせて書いている」
Jリーグはシーズンの半分がアウェーゲーム。
サポーターは試合の観戦だけでなく、相手チームのホームタウンで食や文化なども満喫します。

地域観光ができる「アウェーツーリズム」も観戦に行く楽しみの1つです。

サポーター「いろんな土地土地の人と食べ物とかに会うのが好きですかね。」
「観光も兼ねてっていう感じはあるんですけど、行ったことないところはまず行きたいなあって感じ」
試合開始1時間前。
コールリーダーの真野さんには大切な役割が。
勝利への熱量を高めるため決起集会が開かれていました。

真野涼輔さん「選手もしんどい時にこのサポーターの力でね、松本に集まったこのサポーターで背中全力で押してやりましょう!きょうはよろしくお願いします!」
普段は物静かな真野さんですが、ツエーゲンの勝利のために魂をむき出しにする姿はまるで別人です。
真野さんを先頭に、いよいよスタンドへ。

この日集まった金沢のサポーターはおよそ1000人。
心を1つにして試合に臨みます。
遠く離れたアウェイの地まで駆け付けたサポーターのためにも勝ち点3が欲しいツエーゲン。
J2復帰を目指す両チーム、ツエーゲンは序盤から積極的にチャンスを作り、相手ゴールに迫ります。
しかし前半29分、松本の攻撃陣にブロックを崩され先制点を奪われます。
リードを許したおよそ10分後、ツエーゲンはコーナーキックのこぼれ球を長倉が合わせて同点に。
長倉のJリーグ初ゴールで試合を振り出しに戻します。
1対1で迎えた後半、勝ち越したいツエーゲンでしたが、サイドからの攻撃で2点目を許し再び追いかける展開に。
最後まで攻め続けたツエーゲンでしたが今シーズン初の連敗となり、松本まで駆けつけたサポーターに勝利を届けることはできませんでした。

真野涼輔さん「どこであれ、とりあえず勝ってくれれば。結果が全てなんで。今年は。(Q何でそんなにツエーゲンに全てをかけてるんですか?)金沢が好きだからです。それだけです。それに尽きます」
サポーター歴19年・石瀬結さん「真野さんは頼れる奴ですよ。こいつがいなかったら多分ゴール裏こうならないんで。こいつのやることについてやっていけば良いゴール裏できると思ってるんで。頼もしい存在です」

チームの躍進にはサポーターの存在が不可欠。

その声援が選手たちの背中を後押しします。

うれしい時も苦しい時も選手と共にJ2昇格を信じて戦います。