手に飛び散った「汁」
広島では被爆者が入院している病院を慰問し、被爆者の前でアカペラで歌を披露した。握手をすると、ケロイドのある被爆者の手の水泡が破け手についた。抱き合うと白いスーツにしみがついた。
杉良太郎さん:
「ものすごく鮮明に残ってるんです。だから講演で『被爆者なんて簡単に言うな』って言ってきた。被爆した人たちの匂いを知ってるか? 飛び散った汁はどんな色をしていて、どんな感情がそこに含まれているか分かるか?って」
「あの人に会いたい」再び長崎の坂道へ
心の中に残る後悔は年齢とともに膨らんでいった。一方で「今さらどうするんだ」という気持ちもある。

4月23日、厚生労働省の特別健康対策監としての仕事で長崎県大村市を訪れていた杉さんは、長崎市まで足を延ばした。女性が切り盛りしていた店を探して、当時の記憶を頼りに大浦天主堂周辺の階段や坂道を歩き回った。