“見られたい”という衝動

被告人によると、犯行当日は夜女性と食事の約束をしていたということです。しかしまだ肉体関係を持つような関係になかったことや仕事の憂鬱などのストレスから「性的な衝動を抑えられなかった」としており、見られる状況に快感を覚える趣向があるとしました。

(検察)「分からないんですが…なぜムラムラして陰茎を出そうと思うのか?」
(被告)「発散したいという気持ちで…」
(検察)「他の方法で解消できないのか?」
(被告)「事件当時は他の方法は考えられなかった」

前回も同じ裁判官

去年、同じ公然わいせつ罪で懲役4カ月の実刑判決を言い渡したのは、今回と同じ裁判官でした。

(裁判官)「自分の性欲を解消するのに人に見られている状態の方がいいの?1人でやるのとは違うの?」
(被告)「はい、そうですね」
(裁判官)「あなたの中で欲求のブレーキになることは何?」
(被告)「家族とか、刑務所生活、前回の時に失った彼女や仕事です。それがすぐに頭に出てこなかったのが問題。持ち物などですぐに顔が浮かべられるようにしたい」

裁判官は、同じ罪で法廷に戻ってきた被告に対し、戸惑ったような沈黙をはさみながら静かにこう語りかけた。「自分の欲求をコントロールできないと社会の中で生活するのは難しい。2度と繰り返さないためには何が必要か考えて下さい。時間を無駄にしないようにしっかり考えて下さい」

性的衝動との向き合い方 支える家族と治療の壁

被告の男は携帯の待ち受け画面を「家族の顔」にしていると述べました。さらに、恥ずかしさもあって治療内容を家族と共有していなかったが、今後は真剣に治療に専念し、根本的に直したいと述べました。

性的趣向を巡る問題に対し、周囲がどのように、どれだけ関わりを持つべきかー治療の難しさが垣間見えます。