『Win-Winの提案』ができるかどうか

 では、首脳会談では何が話題に上がるのか。可能性のあるものとして、まず『日本の防衛費』についてです。現在、GDP比2%まで上げている途中ですが、トランプ政権のコルビー国防次官は「GDP比3%に」と主張しています。首脳会談ではどのような“要求”があるのか、ないのか…そして石破総理はどのように対応するのでしょうか。

 また、『関税』についても話題に上がるかもしれません。アメリカ側が関税を上げると、日本の輸出品が売れにくくなり、日本の景気が冷え込むおそれも。過去にトランプ大統領は「一律10%~20%へ」という発言をしています。特に日本の自動車産業が大打撃になってしまうかもしれないという中で、石破総理が狙うべきは、アメリカと日本、双方ともに利益が出るような『Win-Winの提案』ができるかどうかだというこです。
13.jpg
 例えば、安倍総理(当時)のときの2019年、トランプ大統領は『日本から輸入する自動車の関税を2.5%から25%に上げたい』と要望したということです。これに対し安倍総理(当時)は『それは困るから…アメリカから輸入する食べ物や農産物の関税は、9割以上、下げるor無くす』という提案をし、日本の自動車産業を守る“取引”をしたということです。

 さらに、『化石燃料』についても話題に上がる可能性も。“掘って掘って掘りまくれ!”と化石燃料の増産を訴えるトランプ大統領。実は、アメリカの化石燃料は割安だということです。距離的なことやアメリカの都合もあるのか、日本はアメリカからの輸入割合は高くないようですが、ここをもっと増やすという手もあるとの見解も。運送費がかかるかもしれませんが、日本にとっても輸入先を分けるということは防衛上の観点からも良いでしょう。アメリカにとっても売れるのは良いことであり、こういった提案を日本側が先に出して、何とか交渉をうまく進められないか、ということです。

 今回の首脳会談について、武田一顕氏は「“被害”をいかに抑えられるか」が大事とコメントし、中林美恵子教授は「“また会いたい”と言われるような人間関係が作れるかどうか」というのも成功のラインだと指摘します。