悪臭しにくい「マンホールトイレ」平和公園・マツダスタジアムでも整備
石川県珠洲市から、直線距離で550キロ離れた広島県の広島市。
南海トラフ巨大地震が起きた場合、県内では最大震度6強の揺れ・最大2m近くの津波が想定されている。広島市を含む沿岸部では、能登半島の被災地と同様、液状化リスクが高い。

こうしたなか、広島市は下水道に直結する「マンホールトイレ」の整備を進めている。マンホールの上に、簡単な便座やパネルを設ける仕組み。汲み取り式のような悪臭がしにくいメリットがある。
広島市内で初めて「マンホールトイレ」が設置されたのは、2006年。その後、平和公園・マツダスタジアム・小中学校など計200基以上が取りつけられ、2024年は公立高校の24基が加わった。能登半島地震を受け、地元住民の防災意識も高まっているという。今後も新たな設置場所が予定されていて、それぞれで下水道ルートの耐震化に着手している。

一方で「マンホールトイレ」が訓練以外で使われた実績は、現時点でゼロ。広島市下水道局の担当者は「大規模な災害が起きた時、どのように使ったらいいかを訓練で知ってほしい」と話す。