個室にガムテープ「袋を開いて便器にかける」日常とかけ離れた“災害用トイレ”の手順

石川県珠洲市の飯田小学校。3学期の授業が始まる予定だった2024年1月9日、教室は避難所に使われていた。床には布団が敷かれ、ストーブの周りで被災者が身を寄せあう。
この時点で、学校再開の目途は立っていなかった。地元の町内会長は、避難所の生活において、ある悲痛な面を訴えていた。
「トイレが一番大変。一人ひとりに袋を持ってもらい、まとめてゴミとして出す」
トイレの個室は、緑色のガムテープがバッテンに貼られていた。入口には「災害用トイレ」の手順が書いてあった。

「災害用トイレ」の手順
・切り取り線で切る。最後にヒモとして使う。
・袋を開いて、便器にかける。
・大便をする。ふいた紙もいれる。
・切り取り線をヒモとして使ってしばる。
・黒ゴミ袋に捨てる。
言わずもがなだが、レバーを引いて水を流すだけの水洗トイレとはワケが違う。トイレを我慢する人が増え、食事や水分を取らず体調を悪化させる場合もある。
「災害用トイレ」は日常生活に浸透していない。それを裏づけるデータがある。