テレビが「争点」にしていたものは?政治改革・裏金問題は?
2024衆院選で各テレビ番組が「争点」として扱っていたものは何だったのかを見てみよう。エム・データがキーワードごとにまとめて検索したものが【図表3】である。
グラフのオレンジ色で示した「選挙期間中」では「争点1」つまり、物価高や“年収の壁”など経済対策が最も長い9時間12分24秒になっている。続いて8時間9分40秒放送したのが「争点2」の政治改革や裏金問題。「争点4」の外交や安全保障が5時間45分22秒。「争点3」の人口減少や少子化対策などが4時間37分39秒などと続く。


このうち、「争点2」の政治改革、裏金問題について見てみると、「選挙期間前」でも15時間あまり報道されている。選挙期間前からテレビが最も長く放送していた争点であることがわかる。「選挙期間中」には8時間9分あまりの放送。
選挙終盤の10月23日になってさらにトピックが加わった。この日、初めてテレビで報道されたのが“2000万円支給問題”。自民党本部はいわゆる“裏金候補”に対しては公認しないことを決めたが、そうした候補が支部長を務める党支部に対して公示後に2000万円を支給していたことが判明した。共産党の機関紙である「しんぶん赤旗」の特報だった。
これでは党本部が非公認にした意味がないではないかという批判が強まり、石破茂総裁が釈明してそれがテレビでもニュースなどで報道された。当日の夕方ニュース番組では伝えなかったテレ朝、フジテレビのように23日中には問題を一切報道せず、24日になって報じ出した局もあった。
【図表4】はこの2000万円問題の報道時間を集計したものだ。「選挙期間」中で2時間18分3秒になった。「選挙期間中」における政治改革、裏金問題の放送時間の4分の1以上が2000万円支給問題で占められていることがわかる。それだけ大きなインパクトを与えたといえる。
この2000万円問題が自民党や与党全体の過半数割れにつながる要因になったことはテレビ報道の量からも明らかだ。

【図表4】では「投開票日以降」の12日間でも“2000万円支給問題”で8時間近い放送が行われていることがわかる。選挙の後でも引き続き、この問題がテレビ報道の主なトピックになっている。