昨年1区の悔しさが変わるキッカケになった小海
小海にとってパリ五輪も自身が変わるキッカケだったが、昨年のクイーンズ駅伝も同じように大きなキッカケになった。1区で区間2位は健闘だったが、五島莉乃(27、資生堂)に7.0kmの距離で39秒差をつけられたことがショックだった。
「五島さんがスタートから飛ばして、気持ちでは付いて行かない選択肢はなかったのに、付いて行くことができませんでした」
昨年の1区も客観的に見れば失敗ではないが、その後の小海はトラック、駅伝とも全国3位以内を続けている。それを可能にしているのは、小海の練習姿勢だと早瀬監督は指摘する。
「練習がフリージョグの日でも必要だと感じたら80分走ったり、休みの日でも(次の負荷の高い練習につなげるために)リズムを上げたジョグをしたりします。周りがやっていることに流されず、自分がやらないといけないことを判断して、自分の行動をコントロールする。強い意思がないとできないことですが、だから小海はレースを外さないのだと思います」
パリ五輪から帰国後は、練習でイメージできるペースを400m74秒(10000mに換算すると日本トップレベルの30分50秒)から、72秒(10000m換算で世界と戦える30分00秒)にアップした。そのペースで走り続けられるイメージの距離は、「延ばせてきています」と小海。
昨年は7月のアジア選手権10000mに優勝したが、その後ケガをしてしまい練習が中断した。クイーンズ駅伝には「ぎりぎりで合わせた」という状態だった。
「今年は上半期も去年より良くて、ケガもありません。いつもは試合前に自分の調子は話さないタイプですが、今年は良い感じで練習が継続できています。どうしたら駅伝にピークを合わせられるんだろう、と考えて今年はここまで来ました」
小海が自身の走りで見て欲しいところは、「前半から(速いペースで)突っ込んで、つらくなってきてもチームのためにペースダンしない走り」だという。仮に1区で五島と再戦しても、昨年のように最初から離れたりはしない。3区で前にライバルチームがいれば、一気に追い上げるだろう。