「30代の支持率1位」飛躍した国民民主党「103万の壁」見直しの実現は?

今回の衆院選で議席数を飛躍的に伸ばしたのが国民民主党である。「各党の支持率」をみても、最も上げ幅が大きいのが国民民主で、先月の調査1.5%から9.1%に急上昇している。これまでは政党支持率は1位自民、2位立憲、3位維新の順だったが、今回は維新を押しのけ3位となった。

支持政党を世代別に詳しく見ると、国民民主は30歳未満では自民党に次ぐ2位、30代では1位だ。

その国民民主が今回の選挙で強く訴えたのが「手取りを増やす」政策。なかでも年収「103万円の壁」を178万円まで引き上げることを主張した、都知事選で2位となった石丸伸二氏のSNS戦略を参考にしたという、玉木代表の動画は各種SNSで拡散され、とくに若者層の支持に繋がった。

課題も指摘されている。高所得者にとっては減税幅が大きく有利な点、この恩恵を受けない低所得者層への対応、そして財源だ。政府は国民民主が求める178万円まで引き上げることで7~8兆円程度減収となる。手取りを増やすなら、社会保険料が発生する「106万/130万の壁」が本丸ではないかと指摘する声も上がる。そうして懸念も加味した上で、こうした「年収の壁」の引き上げには66%が賛成だという。

今後自民党と国民民主党は政策責任者同士がこの「103万円の壁」の見直しを含む経済対策の協議を重ねる。自民党内でも年末の税制改正大綱にむけ、税制調査会が本格稼働し、詳細設計を協議する運びだ。

過半数割れしている“少数与党”の自民党にとっては、野党がまとまって内閣不信任案を提出すればすぐ可決される不安定な状況であり、これまで「数の力」で押し切ってきた法案の通し方は通用しない。

自民党としては、これまで政府・与党に”是々非々”の対応をし、過去2度予算案に賛成した“実績”のある国民民主党からの協力を得たい。そのためにも国民民主が求める「103万の壁」の引き上げは、自民にとって最初の関門となる。