熱中症の10倍もの死者を出す“熱疲労”とは

さらに、危険な暑さは“ある健康被害”を引き起こし、熱中症の10倍もの死者を出していると指摘する専門家もいます。

東京大学・井原智彦准教授
熱中症の死者は30年を平均して300人ぐらいですが、“熱疲労”で亡くなっている方は3000人ぐらい」

この“熱疲労”とは何なのでしょうか。

出水麻衣キャスター:
24年の夏は非常に暑かったですよね。気象庁は、どのように分析しているのでしょうか?

TBS社会部 本杉美樹記者:
日本の上空には偏西風という強い風の流れがあって、それが寒気と暖気の境目になっています。今年は偏西風が平年よりも北側を流れていたことで、日本の上空は暖かな高気圧に覆われやすく、日差しが強まったことなどが厳しい暑さの原因だと気象庁の専門家会合は分析しています。

さらに気温の上昇は、暑さだけではなく降水量にも影響していきます。
9月の能登豪雨も暑さの影響で、能登半島沖の海面水温が高くなって大気中の水蒸気量が増えたことが要因の一つだと分析している専門家もいます。

出水キャスター:
「熱疲労」という言葉は耳馴染みのない言葉ですが、これはどういったものなのでしょうか?

本杉記者:
東京大学の井原智彦准教授が「熱疲労」と呼んでいるのは「暑さのダメージが蓄積したことによって起こる体調不良」のことです。

急激な体温上昇が原因となる「熱中症」とは異なり、熱中症になる前に臓器がじわじわとダメージを受けて、心不全や呼吸器不全などの疾患が起こりやすくなるということです。