変わる町の風景

公費解体が進むなか、6月の記事でご紹介させていただいた「広江歯科医院」も、解体がはじまりました。

解体中の広江歯科医院 提供:広江歯科医院

町野町鈴屋のこの場所で開業して42年、地域に親しまれていた明るいオレンジ色の屋根は、もう見ることができません。町野町の中心部にある五里分橋にさしかかると、裏山の緑に映えて美しかったことを昨日のことのように思い出します。

広江院長は、発災時のことをこのように振り返ります。

「尋常ではない揺れから逃れ、家を出たところで母屋が倒壊していることに気がついた。激しい余震が続く中、自宅から少し離れた高台にある診療所が建っていることだけが救いだった。オレンジ色の屋根が変わらずにそこにあることにホッとした」

しかし、実際には土台が崩れて窓や戸が外に飛び出し、院内の床は抜け、柱が折れる被害によって、のちに全壊の判定を受け、公費解体の対象となりました。

鈴屋地区の高台、裏山を背にした立地は、町野町のランドマーク的な場所でしたが、皮肉にも、その裏山が崩れており、同じ場所での再建は断念せざるを得ませんでした。

それでも、広江院長は、町野町での再建の道を模索し続けています。