焼けた珠洲焼を金継ぎ「地震があったことを受け継ぐ」

東京に戻り早速、修復作業に取りかかる。火事で焼けた器を直すのは初めてだという。

美術家 中村邦夫さん
「焼けて少し脆くなっていたり、本当に爪痕が残ってる感じですけど。これを展示したいということを言っていたので、欠けた部分だけを修復しようかなと思っています」

ヒビが入った部分を漆と混ぜた珪藻土で埋めて、やすりで削る。これを繰り返し、最後に金粉を蒔いたら金継ぎは完成する。

2週間後、田中さんの元を再び訪れた。修復を終えた珠洲焼を田中さんに返却すると…

てんだ商店 田中宏明さん
「すごい。完璧だと思います。すごいですね」


美術家 中村邦夫さん
「焦げているところは取らないで、そのまま生かしたんですよね。欠けてるところだけを(金で)埋めて」

金継ぎされ、かえってきた珠洲焼。

てんだ商店 田中宏明さん
「こうやって残して、いろんな人に見てもらう。作家さんとしても本望だし、ありがたいことだと思います」

てんだ商店 田中宏明さん

美術家 中村邦夫さん
「ささやかなものでもいいと思うんですけど。金継ぎした器を直すことによって、昔、地震があった、火事があったことを受け継ぐ事が出来る。能登の復興ってまだまだすごい時間がかかると思うけど、割れるものがある限り、僕は何か直していきたいなと思ってますけどね」

美術家 中村邦夫さん