“閣内入り”で持ち味の「忖度なし発言」も封じられ…

政府の重要政策でもあるマイナンバーカード普及。デジタル化による手続きの簡素化と利便性向上を狙う岸田政権の重要政策の1つだ。
岸田総理(2022年8月、内閣改造直後)
「マイナンバーカード普及は待ったなしだ。河野大臣の突破力に期待している」
河野氏がデジタル大臣へ就任した2022年、岸田総理は周囲にこう解説している。コロナ禍ではワクチン接種推進担当大臣として国民へのワクチン接種の呼びかけや体制強化に務めるなど、これまでも政権支持率へ直結する重要政策を担い数々の重役をこなしてきた。
ある中堅議員は「河野さんじゃなければ乗り越えられていなかった」と、その手腕を評価している。
持ち味の“実行力と突破力”は党内・閣内からも評価が高く、歯に衣着せぬ発言が人気を集める一方で、党内の問題に対しては表立った批判や踏み込んだ発言を避ける場面が多数ある。

河野デジタル大臣
「党で議論されることだと思いますので詳細を私から申し上げるのは差し控えたいと思います」(2024年2月、記者会見)
「中身については党で議論する話で、政府で議論するものではございません」(2024年2月、予算委員会答弁)
現在の政界の最大関心事ともいえる、自民党の派閥の政治資金をめぐる問題に対しては徹底して踏み込んだ発言を避けている河野氏。
河野氏への期待感やキャラクターを考えれば、こうした問題にこそ是非とも切り込んでいって欲しい、という国民の期待は大きいはずだ。
この理由を河野氏の周辺は「党に関する発言は慎重にならざるを得ない。閣内に入るってこういうことなんだ」と解説している。奇しくも、河野氏の持ち味である「忖度ない姿勢」という武器が封じられてしまっているという。
「(今は大臣として)やるべきことをやるだけだ」
当の河野氏自身は焦る様子もなく、周囲に淡々とこう語っている。