総理へのもうひとつのハードル、キーマンは“もう1人の太郎”

河野氏を取り巻くハードルがもう1つある。

自身が所属する志公会(麻生派)の会長であり、自民党副総裁・麻生太郎氏の存在である。

麻生派は自民党の政治資金の問題を受け、党内の各派閥が解散を表明する中で、茂木幹事長率いる平成研(茂木派)と共に解散を表明しておらず、河野氏も麻生派からの脱会を表明していない。

前回の総裁選で河野陣営を務めた、あるベテラン議員はこう話す。

「候補になった時にどこまで捨て身になれるのかどうかが試される場面だ」

明言は避けたが、捨て身、という言葉は「麻生氏からの脱却」を指しているとみられる。

閣僚経験者も「河野太郎は最初に(派閥を)抜けておくべきだった。これでは二番煎じになってしまう。判断を誤った」と、麻生派に対する河野氏のスタンスを疑問視している。

そんな中、2月9日、突如河野氏は麻生氏と会食した。
総裁選へ向けた所属する政策集団の会長への仁義切り、そして総裁選出馬への理解を求めに動いたともみられている。
ただ、河野氏の周辺は「あれはまだ根回しの『根』の段階だ」としたうえで議論は「時期尚早」と強調した。そのうえで、会食を終えた河野氏の表情を「浮かない顔をしていた」と付け加えている。

「次の総裁選でも河野太郎に一本化とはならない」

麻生派関係者は派内の実情をこう明かす。

「いまだにベテラン議員は固い。今のままだと次の総裁選でも河野太郎に一本化とはならない」

実際、河野氏の評価はまだまだ厳しい。

麻生派幹部
「弁が立つわけでもない。あれだけ飛び跳ねられるとどうすることもできない」

麻生派ベテラン議員
「まだまだ危なっかしいよな。今後成長してもらわないと」

こうした意見が根強い中、河野氏は麻生派内の議員との会食を重ねている。河野氏の側近は「本気で支えたいという人が数人しかいない状況。人付き合いが苦手だが、コツコツ地盤を作っている」と険しい表情で話す。