ランダム商法と転売
さらに、ランダム商法は二次流通市場の拡大とも密接に結びついている。同調査では、「欲しいランダムグッズを手に入れるため、定価+送料以上の転売グッズを購入したことがある」と回答した人が、「よくある」「たまにある」を合わせて63.3%に達した。ランダム販売によって希少性が生まれることで、フリマアプリやオークションサイトでの高額転売が常態化している状況が浮き彫りになっている。その一方で、こうした状況に疲弊し、そもそもランダム商品の購入自体をやめる消費者も増えている。
実際に、同調査の「買うのをやめたランダムグッズについて、やめた理由は何ですか?」という設問では、「後日、フリマサイト(アプリ)で購入すれば良いと思った」と回答した人が44.0%にのぼった。この結果からは、一定数の消費者が、ランダム購入を繰り返すよりも、「最終的に欲しいものだけを確実に入手する」ほうが合理的だと判断していることが読み取れる。特に、推しが明確に定まっている推し活型消費では、「何が出るかわからない商品を何度も購入する」よりも、多少価格が高くてもフリマアプリなどで直接購入したほうが、結果的に出費やストレスを抑えられる場合も少なくない。
この合理的判断が、結果として転売市場をさらに活性化させるという負の循環も生み出している。ランダム販売によって需要が集中し、希少性が高まることで高額転売が成立しやすくなり、それを利用する消費者が増えるほど、転売行為自体も加速していく。
ただし、多くの消費者は転売市場の存在を必ずしも肯定的に受け止めているわけではない。実際には、「本当は転売者から買いたくない」「公式に適正価格で販売してほしい」と考えるファンも少なくない。特に推し活文化では、作品やタレントへの“応援”の感覚が強いため、正規販売ではなく、第三者による利益目的の転売にお金が流れることへ倫理的な抵抗感を抱く人も多い。だからこそ、そのようなランダム商品を購入することを断念するケースも少なくないのだ。

ダブり
例えば、ランダム商品を購入した際、すべて異なる種類が出ればまだ“楽しさ”として成立しやすい。しかし、同じものが何度も重複してしまった場合、そこには別種のストレスが発生する。いわゆる“ダブり”が生まれると、消費者はその処分方法を考えなければならなくなる。とはいえ、不要になったからといって簡単に捨てられるものでもない。特に推し活グッズは、誰かにとっては大切なキャラクターやメンバーであるため、「はずれだから処分する」という行為そのものに後ろめたさを感じる人も少なくない。何より数百から数千だして購入したわけで、純粋に捨てるのはもったいない。
一方で、前述した通り、交換相手や譲渡先を探すことにも手間がかかる。SNSで条件を提示し、連絡を取り合い、梱包・発送まで行う必要があり、その労力は決して小さくない。さらにフリマアプリへ出品したとしても、人気の低いキャラクターは原価割れでしか売れないケースも多く、送料や手数料を考えると、むしろ赤字になることもある。
しかも、すぐに売れるとは限らない。売れ残れば在庫として自宅に保管し続ける必要があり、最終的には“たたき売り”のような状態で価格を下げざるを得なくなる場合もある。つまり、ランダム商法では「欲しいものを手に入れるまでのコスト」だけでなく、「不要になったものを処理するコスト」まで、消費者側が負担しているのである。
このようなランダム商法によって消費者が負担するコストや不便性がコンテンツそのものへの評価にも影響を及ぼしている。同調査の「ランダムグッズの影響で、コンテンツ自体への印象が悪い方向に変わったことがある」という回答は、「よくある」「たまにある」の合計で85.2%に達した。本来、グッズ販売はファン体験を拡張する役割を持つはずだが、過度なランダム性や課金負担が、作品や運営そのものへの不信感につながっている可能性がある。ランダム商法は短期的には売上拡大や購買促進に寄与する一方で、長期的にはファンの疲弊やコンテンツ離れを引き起こすリスクも抱えているのだ。