トランプ米大統領は、イランとの早期協議に慎重な姿勢を示した。両国は攻撃の応酬を続けており、紅海ではイエメンの親イラン武装組織フーシ派が船舶の航行を脅かしている。

トランプ氏は21日、フーシ派が紅海の航路を妨害すれば対応すると表明した。ただ、具体策には言及しなかった。

米国が10日連続でイランを攻撃するなか、仲介国は和平交渉の再開に向けた調整を続けている。世界のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡や紅海での緊張の高まりを受け、原油価格は21日の取引で3日続伸した。

トランプ氏はこの日、ホワイトハウスでレバノンのアウン大統領と会談。冒頭で記者団に対し「イランは必死に会談を望んでいる。しかし、本気で意味のある協議をする用意が整うまでは、われわれは会うつもりはない」と述べ、攻撃を続ける考えを示した。

一方でイランは、さらなる協議を求めているとする米国の主張を否定している。こうしたなか、仲介国は暫定和平合意の再建を目指して調整を続けており、イランのモメニ内相は21日にパキスタンを訪問した。しかし、これまでのところ進展は伝えられていない。

フーシ派が攻撃を警告

米中央軍は、夜間の攻撃でイラン軍の指揮拠点やミサイル発射施設、防空システムを標的にしたと発表した。一方、イランはクウェートとヨルダンの施設を攻撃し、クウェート政府によると、電力施設や海水淡水化施設などが被害を受けた。英海軍はホルムズ海峡周辺で船舶2隻が攻撃を受けたと報告。同海峡を通過する商船の数は過去3週間で最低水準に落ち込んだ。

フーシ派は20日、サウジアラビアに対する海上封鎖を実施すると表明した。同国が紅海経由で輸出する数百万バレル規模の原油供給が脅威にさらされる恐れがある。ブルームバーグが確認したメールによると、フーシ派は全ての船舶に対し、サウジの港への寄港を控えるよう警告した。

フーシ派による船舶への脅威について問われたトランプ氏は、「そういうことが起きれば、われわれが対処する」と述べるにとどまり、詳細は明らかにしなかった。

サウジ主導の有志連合は、周辺海域を航行する船舶の安全確保に向けた措置を講じていると発表。サウジ外務省も声明で、国際法に基づき、船舶を保護するために必要なあらゆる措置を講じると表明した。

核施設と疑う山への攻撃示唆

米国ではガソリン小売価格が1ガロン(約3.8リットル)当たり4ドルを再び上回っており、11月の中間選挙を控えるトランプ氏と共和党にとって逆風となる可能性がある。

トランプ氏は21日、ホルムズ海峡での攻撃について問われ、「イランはおそらく選挙に影響を及ぼそうとしている」と述べた。

さらに「米軍が明日にでも撤退すれば、われわれは大きな成果を残したことになる。しかし、われわれは明日撤退するつもりはない」とし、米国とイスラエルが核施設と疑うイランの「ピックアックス山」への攻撃を近く実施する可能性を改めて示唆した。

仲介国が10日間の停戦を提案したとロイター通信が報じたことについて、米政府当局者は、トランプ氏は現在、ホルムズ海峡におけるイランによる船舶攻撃に対する報復を重視していると説明した。米軍の攻撃はトランプ氏が方針を変更するまで続く見通しという。一方、戦争終結に向けた外交努力は継続している。

米国とイランの戦闘が激化する中、湾岸アラブ諸国の米国の同盟国では、自らの安全保障と経済が脅かされていることへのいら立ちが強まっている。そうした不満は、今後の米国の対応をめぐり各国の見解が分かれていることにも表れている。

事情に詳しい複数の関係者によると、一部当局者は、トランプ氏がイラン国内に地上部隊を投入し、さらには主要原油輸出拠点であるカーグ島を制圧することも含め、軍事作戦を拡大すべきだと考えている。同関係者は非公表情報だとして匿名を条件に語った。

トランプ政権1期目で中東担当外交官を務め、現在はワシントン近東政策研究所のフェローを務めるデービッド・シェンカー氏は、「多くの当局者は『緊張を緩和するには、まず緊張を高める必要がある』と考えている」と指摘。「ホルムズ海峡をめぐる問題でも核問題でも、現在の状況ではイランからいかなる譲歩も引き出せない。さらなる対応が必要だ」と述べた。

原題:Trump Plays Down Prospects for Iran Talks Amid Red Sea Threat(抜粋)

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