結婚年齢は誤解の温床
筆者は日本の出生減の主因が婚姻減にあるという統計的実態に着眼して、2016年から未婚化を取り巻く様々なデータ検証を行ってきた。
また、婚姻実態に関するデータ講演会も全国各地で実施してきたが、結婚年齢に関する誤解がいまだに後を絶たない。
その中でも、特に30代以上の年齢層で多発している誤解の1つが、夫婦の年齢差に関する誤解である。結論から先にいうと、一般的なイメージ以上に夫婦の年齢差はとても小さいのである。
年齢差また縮小へ
2024年の婚姻統計を参照すると、結婚の76%を占める初婚同士の結婚の平均年齢差はわずか1.4歳である。
2010年から2019年までは1.7歳で推移していたが、2020年から2022年に1.5歳に縮小し、さらに2023年に1.4歳に縮小、2024年も引き続き1.4歳となり、年齢差の縮小トレンドがよりはっきりとしてきている。
また、初婚同士カップルに比べると上の年齢層の男女の組み合わせ傾向となる再婚者も含めた全婚姻の平均年齢差も、四半世紀にわたり2.0歳以上2.5歳未満を続けてきたが、2024年には1.9歳差と初めて2歳差を切る状態となった。
結婚支援の現場ではアンコンシャスに「男性上位婚」発想の中高年支援者や活動者が少なくない中で、実態は上位婚時代から『平行婚』(筆者造語)時代へと確実に移行している。
それにもかかわらず、SNS等ではいまだに「男性と女性は年齢の価値が違う(はず)」という意見が散見されている。
どこの誰の意見の転用かは不明だが「海外では、女性と異なり男性はワインのように熟成したほうがいい」といった投稿も見られてほとほと困っていると、筆者に連絡してきた結婚支援の現場関係者もいる。
このような実態と乖離した思い込みに基づくSNS上の「お気持ち表明」が、結婚希望がありつつも結婚に至らず不安になっている男女の結婚相手探しをさらに迷走させる傾向にあり、結婚年齢に関しては特に正確なデータをしっかり把握してから行動するという姿勢が、日本における未婚化解消のために必要不可欠となっているといえるだろう。
