海外と比べて「学び直し」が遅れている日本
このような背景により社会人の学び直しが進んでいないのが日本の現状だが、学び直しを行っている割合は諸外国と比べても低い。
内閣府の報告書によると、25~64歳のうち高等教育機関で教育を受けている人の割合をOECD(経済協力開発機構)諸国で比較すると、日本は2.4%と、英国の16%、米国の14%、OECD平均の11%と比較して大きく下回っている。
学び直しの源流は「リカレント教育」である。リカレント(recurrent)は「循環する・繰り返す」という意味で、リカレント教育の概念は1960年代から主に北欧諸国で発展した。
その後、OECDが1970年代にリカレント教育を提唱した際、それを世代間の教育機会の格差解消や、所得にかかわらず教育機会を提供する手段と位置付け、「社会平等の実現」を目指した。
しかし、現在の日本では、前述のように、費用を含めた様々な課題が学び直しを阻んでいることを考えると、限られた社会人でないと学び直しができない状況になっているともいえる。
つまり、「誰もが学び直すことができる」という原点から離れてしまっている可能性がある。