カナダのフランス語圏ケベック州で分離独立を掲げる政党の支持率が上昇しており、同州の債券から距離を置く投資家が出始めている。

ブルームバーグの集計データによると、30年物ケベック州債のオンタリオ州債に対する利回り差は約6ベーシスポイント(bp)と、ほぼ10年ぶりの水準に拡大した。リスクプレミアムの上昇は、カナダ人口の5分の1超を占めるケベック州で政治的安定性への懸念が高まっていることを示唆している。

ケベック党のサンピエール・プラモンドン党首

分離独立を掲げるケベック党(PQ)のサンピエール・プラモンドン党首は、カナダからの独立を問う住民投票の実施を公約に挙げている。州選挙まで1年を切る中、PQは世論調査で支持を固めつつあり、足元のスプレッド拡大の動きにつながっている。

ケベック州は今年の10月に、分離独立の是非を問う住民投票を前回実施してから30年の節目を迎えた。当時の投票では50.6%対49.4%の僅差でカナダ残留が決まった。

リース・ウィーラー・インベストメント・カウンセルのポートフォリオマネジャー兼金利部門責任者ライアン・グールディング氏は「住民投票の懸念が残る限り、この州の債券はどうしても買う気になれない」と話す。

スプレッドの拡大は、米国が6月にアルミニウムに50%の関税を課したことをきっかけに始まった。同州はアルミニウムの主要生産・輸出地域であり、大きな打撃となる。グールディング氏は、分離独立の可能性は低いものの、そのリスクが市場に織り込まれていると指摘。関税発表時にケベック州債の保有比率をアンダーウエートに引き下げて以降、買い戻していないという。

ケベコール系のニュースメディアの委託でレジェ・マーケティングが実施した最近の調査によると、ケベック州民の約60%がカナダからの離脱に反対票を投じると回答した。約30%が分離独立に賛成票を投じると回答し、残りは「わからない」または「回答を控える」と答えた。

原題:Quebec’s Independence Talk Is Making Bond Investors Nervous(抜粋)

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