深刻な住宅危機と高インフレ
しかし、近年、オーストラリアは明らかに「悪い時期」を迎えています。
その兆候は、特に国民の日常生活に現れています。
ベトナム出身で小さなコーヒーショップを経営するキム・ダオさんは、30歳でオーストラリアに来て以来、その生活の変化を肌で感じています。
去年、パートナーと二人で住むためのワンベッドルームアパートメントを探すのに6ヶ月もかかり、内覧には常に長蛇の列ができていたと言います。
これは、キムさんだけの問題ではありません。
オーストラリアは今、深刻な住宅危機に直面しており、住宅価格は高騰し続け、需要が供給を大幅に上回っています。
特にシドニーの住宅価格は、収入に対する住宅価格の中央値で見ると、香港に次いで世界で2番目に高い水準です。

さらに、物価上昇も国民生活を圧迫しています。
ブルームバーグが発表する「バーベキュー指数」(バーベキューに使う食材の価格を測る指数)を見ると、2020年の創設以来、豚肉、牛肉、アイスクリーム、チーズ、野菜などの価格は大幅に上昇しています。
キムさんのコーヒーショップでも、毎日焼きたてのパンを提供するために新鮮な食材を仕入れる必要があり、その価格変動が経営に大きな打撃を与えていると話します。
顧客への値上げをためらいながらも、近いうちにそうせざるを得ないだろうと苦しい胸の内を明かしました。
オーストラリアだけが高インフレに苦しんでいるわけではありませんが、より深刻なのは、物価の上昇に賃金が追いついていないことです。
国民は日用品により多くを支払っているにもかかわらず、収入はほとんど増えていないと感じています。
