トランプ米大統領は9日、性犯罪で起訴され勾留中に死亡した米実業家ジェフリー・エプスタイン元被告に送ったとされる誕生祝いの手紙を巡り、自身が書いたものではないと改めて否定した。元被告との過去の関わりを巡り疑念が強まる中、火消しを図った形だ。

トランプ氏は記者団に対し、「これは私の署名ではないし、私の話し方でもない。長年私を取材してきた記者であれば誰でも私の言葉ではないことが分かるはずだ」と指摘。「ナンセンスだ」と述べた。

同氏は、報道機関がこの手紙について報じることで自身の政権の「大きな成果から目をそらす」よう仕向けていると非難した。下院監視・政府改革委員会は8日、議会の召喚状を受けエプスタイン元被告の遺産管理団体から提出された記録を公表。その中にあったこの手紙の画像を同委の民主党メンバーがX(旧ツイッター)に投稿した。

この手紙の公表を受けて、エプスタイン元被告に関連する文書の取り扱いを巡りトランプ政権に対する批判が再燃。トランプ氏の支持者の一部からも、性犯罪で有罪となった元被告とその関係者に関する捜査の透明性向上を求める声が上がっている。

トランプ氏とエプスタイン元被告の過去の関わりを巡る疑念は、トランプ氏が送ったとされる誕生祝いの手紙を含む一連の文書を民主党が公表したことを受けて、一段と強まっている。

これらの文書は、元被告が運営していた性的人身売買組織の調査の一環で下院監視・政府改革委が入手したもので、元被告の遺言書や住所録、連絡帳、既知の銀行口座に関する情報などが含まれている。

ホワイトハウスのレビット大統領報道官は9日、下院民主党が公表した手紙の画像は偽物であり、トランプ氏は署名していないと主張。民主党が「米大統領の名誉を傷つけるために必死にでっち上げをたくらんでいる」と非難した。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ )は7月、この手紙の存在について報じていた。トランプ氏は当時、この手紙を作成したことを否定し、「偽物」と主張。同氏はWSJの発行元であるダウ・ジョーンズと親会社のニューズ・コーポレーション、創業者のルパート・マードック氏を名誉毀損(きそん)で訴え、100億ドル(約1兆4700億円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。

ダウ・ジョーンズの広報担当者は、訴訟提起を受けて、「当社は報道の厳密さと正確性には絶対的な自信を持っており、いかなる訴訟にも断固として立ち向かう」と表明していた。

原題:Trump Downplays Epstein Letter as Questions Intensify (1)(抜粋)

--取材協力:Skylar Woodhouse.

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