韓国最大の複合企業であるサムスンにとって、最も重要な収益源である「半導体」が深刻な危機に瀕しています。アナリストが2兆7300億ウォンと予測した営業利益は、実際にはその予測を大きく下回る4000億ウォンという衝撃的な数字に終わりました。この危機は、韓国という国家そのもののアイデンティティを揺るがしかねない、深刻な問題をはらんでいるのです。

「サムスン帝国」の揺らぎ

サムスンという企業は、単なる電子機器メーカーではありません。

韓国社会において、それは国家にも等しい存在感を放っています。

ある韓国人は、自らの人生をこう表現します。「サムスン病院で生まれ、サムスンの学校に通い、サムスンのアパートに住み、サムスンで働く。家に帰ればサムスン製の食品をサムスンの電子レンジで温め、サムスンのテレビを見る」。

これは決して大袈裟な表現ではないのです。
世界中に40万人の従業員を抱え、半導体製造から造船、建設まで手掛けるサムスンは、韓国最大の企業です。

国内株式市場(KOSPI)で最大の構成銘柄であり、毎年、韓国の総輸出額のおよそ5分の1を稼ぎ出しています。

一企業が、国全体の生産物の20%を売り上げているという事実を想像してみてください。

これほどまでに一国の経済と深く結びついた企業は、世界中どこを探しても見当たりません。
「サムスンのない韓国は、スターやペンライトがないBLACKPINKのコンサートのようなものだ」と例えられるほど、その存在は絶対的です。

だからこそ、サムスンの危機は単なる一企業の経営問題では済まされないのです。