欧州の航空宇宙企業3社がイーロン・マスク氏率いる米スペースXに対抗する宇宙・衛星事業の構築に向け、関連部門の統合計画を進めている。

事情に詳しい複数の関係者によれば、欧州の航空機メーカー、エアバスとフランスの防衛大手タレス、イタリアの防衛企業レオナルドがそれぞれの宇宙関連事業を統合する協議を進めている。月内にも計画を公表する可能性があるが、変更もあり得るという。関係者は非公開情報であるとして匿名を条件に語った。

エアバスのギヨーム・フォーリ最高経営責任者(CEO)は9日、3社協議について、デューデリジェンス(資産査定)や利害関係者への通知、独禁当局への申請準備が進んでいると明かし、プロジェクトが進行していることを認めた。ただ、具体的な時期については言及しなかった。

レオナルドは9日、コメントを控えた。タレスもすぐに回答しなかった。

欧州で宇宙事業の統合が実現すれば、エアバスと英BAEシステムズ、レオナルドが共同出資するミサイル企業MBDAがモデルになる可能性がある。

一方で、各社の宇宙部門はいずれも課題を抱えており、米国や中国と実際に競える企業を誕生させる上で、統合は第1歩に過ぎない。

宇宙開発大手を巡る構想は欧州で長年議論されてきたが、実現には至っていない。事業規模が小さい各社の宇宙部門は、スペースXの台頭に対抗できずに苦戦を強いられている。

しかし、欧州諸国は数兆ユーロ規模を防衛に充てる見通しで、各社は統合に向けた好機とみている。

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、宇宙から情報を収集する重要性が浮き彫りとなったほか、トランプ米大統領は安全保障への支出が不足していると欧州の同盟国を繰り返し批判している。北大西洋条約機構(NATO)加盟国は6月、防衛費を対国内総生産(GDP)比5%に引き上げることで合意した。

原題:Europe Space Merger Talks Progress With Airbus, Thales, Leonardo(抜粋)

--取材協力:Nayla Razzouk.

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