2│転職者数に占める中高年層の割合

それでは、転職者のうち、中高年層はどれぐらいいるのだろうか。同じく労働力調査より、転職者数の性別・年代層別の構成割合の推移を示したものが図表2である。仮に、15歳から44歳を「若年層」、45歳以上を「中高年層」とすると、従来は、男女ともに若年層が大部分を占めていたが、近年、その差が縮小している。男性では、若年層と中高年層の比は、2013年には7対3だったが、直近の2023年には6対4となった。女性は、2013年の8対2から、2023年には6対4となっており、縮小幅は男性よりも大きい。

背景には、若年層と中高年層の就業者数自体のバランスが変化していることがある。男性の場合は、近年、少子化によって若年層の就業者数が大きく減少したのに対し、働くシニアが増えて、中高年層が厚くなった。労働力調査より、2013年から2023年までの就業者数の変化を見ると、若年層は200万人減少したが、中高年層は277万人増加しており、対照的である。一方、女性の場合は、企業の両立支援が進んで結婚・出産・育児期にあたる20~30歳代の就業率が大幅に上昇したため、男性に比べれば、少子化による若年層の減少が緩和された。2013年から2023年までの変化をみると、若年層は11万人減少に収まり、減少幅は男性よりも小さい。一方、中高年層は同時期に357万人増加した。

求人側でも、このように急激な少子化によって人手不足が常態化しているため、従来に比べて中高年層を積極的に活用する企業が増えたと考えられる。

3│転職希望者数の推移

次に、同調査より転職希望者数の過去10年間の推移を性別にみてみると、男女ともコロナ禍以降、増加のスピードが上がっている。転職希望者数は従来、男性が女性を上回っていたが、コロナ禍以降は女性が男性を上回ったことは、注目すべきだろう。コロナ禍の影響で、勤め先の経営環境や事業内容が変化して、男女いずれも、転職を希望する人が増えたと考えられるが、特に女性の増加幅が大きい要因としては、コロナ禍によって、在宅勤務がしやすい企業と、そうではない企業で差が開いていることから、より家事育児負担が大きく、両立へのニーズが大きい女性の方が、在宅勤務などの柔軟な働き方ができる職場を求めて、転職希望を強めている可能性がある。