(ブルームバーグ):カナダ・オンタリオ州のフォード首相は、米国で放映された反関税のテレビ広告を巡り謝罪を拒否した。トランプ米大統領はこの広告を理由にカナダとの貿易交渉を打ち切ると表明したが、フォード氏は広告を擁護している。
フォード氏はトロントの州議会で記者団に対し、「われわれは米国民や選出された議員らと対話を始めるという目標を見事に達成した。まさに史上最高の広告だった」と述べた。
その上で、「私の意図はトランプ大統領を怒らせることではなく、米国民にこの問題の重大さを伝え、公正な通商協定がなければ雇用が失われると理解してもらうことだった」と説明。今回の広告は交渉を打ち切る「口実」にすぎないと主張した。

オンタリオ州政府は、故レーガン元米大統領が1987年に行ったラジオ演説の抜粋を引用した広告を米国のテレビネットワークで放映した。自由貿易主義を提唱するレーガン氏はその演説の中で、関税に否定的な姿勢を示していた。
オンタリオ州はカナダ最大の経済規模を持ち、人口は全国の約40%を占める。
フォード氏はカナダのカーニー首相と協議し、広告の放映を27日から一時停止することで合意。ただ、24、25両日の米大リーグ(MLB)ワールドシリーズ第1、2戦では放送された。
フォード氏によれば、カーニー首相と首席補佐官は放映前に広告を見ていたという。
トランプ氏は当初、この広告について、もし自分がカナダの立場なら流すだろうと、控えめな反応だった。しかしその後、ロナルド・レーガン大統領財団・研究所の抗議を受け、広告を「偽り」かつ「詐欺的」と批判し、カナダとの貿易交渉を打ち切ると表明した。
さらに25日、広告が自身の関税の合法性を巡る米連邦最高裁判所の審理に影響を与えようとしているとして、カナダからの輸入品に対する関税をさらに10%引き上げると発表した。
また、オンタリオ州が人工知能(AI)を使ってレーガン氏の発言を改ざんしたと示唆したものの、根拠は示していない。
トランプ氏は27日、カーニー首相とはしばらく会うつもりはないと発言。両首脳は週後半に韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席を予定している。
原題:Ontario’s Ford Says He’s Not Sorry for Ad That Angered Trump (2)(抜粋)
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