(ブルームバーグ):米ハーバード大学の学部課程では、成績の半数以上がA評価であることが、同大の学部教育部門が27日公表した報告書で明らかになった。
報告書によると、学部課程で付与された成績の約60%がAで、10年前の40%、20年前の25%未満から大幅に増加した。大学側は長年にわたり「成績インフレ」の広がりに警鐘を鳴らしてきたが、状況は悪化している。アイビーリーグを含む他の米名門大でも同様の問題が生じている。
報告書をまとめた学部教育部門のアマンダ・クレイボー学部長は、成績の大半をAとする現状を改めるよう教員に求め、「現在の慣行は、成績評価本来の役割を果たしていないだけでなく、大学全体の学問文化を損なっている」と指摘した。

クレイボー氏は成績インフレについて、教員が他の授業より厳しく採点することで履修者が減るのを恐れ、厳格な評価を避ける傾向があることが一因だと説明。また、大学側が「インポスター症候群(自分が場違いだと感じる心理)」に悩む学生や家庭環境に問題を抱える学生への配慮を教員側に求めてきたことも、評価の甘さにつながっていると述べた。
報告書は教員に対し、各コースの成績中央値を共有し、成績分布を時間をかけて見直すことを提言。また、大学内の別の委員会では、現在Aが最高評価である制度を改め、A+の導入を検討している。クレイボー氏は、A+を限られた数で付与する仕組みを導入すれば「成績の情報価値を高め、最も優秀な学生を明確に区別できる」と述べた。
ハーバード大の学術プログラムは、トランプ政権による同大学への調査や米高等教育改革の広範な取り組みの中で注目を集めている。連邦当局は大学に対し「成績の公正性」への取り組みや学生評価における「正当な基準」の使用を盛り込んだ協定への署名を求めている。
原題:Harvard Says It’s Been Giving Too Many A Grades to Students (1)(抜粋)
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