カメラを回すのを止めようと思った時、夫に言われたこと

復帰戦前の走行練習。

周回途中、突然足に力が入らなくなる新たな後遺症に彼は直面していた。

当初2023年2月に予定していた復帰戦は延期。時間が解決してくれる後遺症とはいえ、帯状疱疹で練習にも参加できなくなるほど一時精神的に追い詰められていた。

そんな彼の心情を分かっていたからこそ、カメラを回すのを止めようと思った。でもその時、夫に言われた。

「ありのままの森且行を伝えるんじゃなかったの?」

応援してくれるファンのため、命を繋いでくれた医師のため、そして2021年に共に落車した後輩レーサーのため。「彼に大けがをさせた」とのいわれない誹謗中傷にさらされた後輩の心の傷を取り除くためにも復帰すると誓った森且行。その歩み全てをさらけ出すと腹をくくってくれた。

ありのままの3年間を追った中で一番印象に残った言葉がある。

「いくつになっても挑戦はできる!ハードルは高くても、挑戦を楽しめば苦にならない!」