アイドルグループ「SMAP」を脱退し、オートレーサーとして生きることを選んだ人がいる。森且行、50歳。選手生命、そして命の危機があっても諦めなかった道を進む姿を、映画の密着取材で3年間見つめてきた監督が、率直な思いとともに、その人柄をつづった。(穂坂友紀)
いつだって険しく過酷な選択 それでも楽しんでいるよう
埼玉・川口オートレース場。森且行のロッカーには、こう書かれたタオルが掲げられている。
「俺の生きる道」

1996年、アイドルグループ「SMAP」を脱退してまで望んだ道。
2021年1月、レース中の落車で、選手生命はおろか命の危機に直面しても諦めなかった道。
一生歩くことさえできないかもしれない、一生車椅子生活になるかもしれないと宣告されても、あらがい続けた道。
足に麻痺の後遺症が残ってもなお、400人のレーサーの頂点を目指すと決めた道。
彼が選択する道は、いつだって険しく過酷だ。だが彼は、いつだって、その挑戦を楽しんでいるかのように笑う。
「もう50歳だからって自分に(限界)線を引いた時点で、もうそれは諦めているってことだから」
「生きてさえいれば、人間死ぬまでチャンスがある」
「あの時生かされた命だから。だからもう一度日本一の舞台を目指したい」