日本の厚生労働省が公表した2024年の人口動態統計によれば、同年の出生数は68.6万人と1899年の統計開始から初めて70万人を下回るとともに、合計特殊出生率も1.15と前年(1.20)から0.05pt低下して3年連続で過去最低を更新した。
なお、2023年4月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した将来推計人口(中位推計)においては、出生数が68万人台に低下するのは2039年と想定されていたものの、現実には15年早まった形である。
さらに、2025年の出生数は前年を一段と下回るなど、過去最低を更新する可能性が高まっている。したがって、足元の日本においては、想定以上の速さで少子高齢化の動きが進行していることは間違いない。
アジア新興国における人口動態を巡る「実情」とは
なお、日本国内において「アジアの新興国」というと、概ね「若年層人口の多さを追い風に高い経済成長を実現している」といった印象を持たれることが多いように思われる。
個々の国の人口動態をみれば、確かに人口に占める若年比率が高いうえ、中長期的にみても生産年齢人口の増加が見込まれるなど、いわゆる「人口ボーナス」を享受できる国は少なくない。
ただし、アジアにおいても、近年の高い経済成長やそれに伴う都市化の進展、都市部を中心とする生活コストの上昇、女性の社会進出の加速を受けた結婚・出産観の変化など複合的要因を理由に、都市部を中心に少子高齢化が進展する動きがみられる。
コロナ禍を経て各国における出生数は大きく下振れしており、日本と同様に想定を超えるスピードで少子高齢化が進んでいる国もある。
その一方、国全体としては人口増加が続いているものの、大都市部に限れば少子化が進むなど、一国のなかで地域ごとに人口動態が変化するとともに、その背後で経済格差が拡大するといった新たな社会課題が顕在化する動きもみられる。
その意味では、過去に日本が経験してきた課題を後追いしている状況にあると捉えることができる。