利上げで経済に効果はあるのか…日銀が経験した「為替との戦い」
元々、日銀は為替のために政策を決めているわけではないという基本があります。
白川方明さんが総裁だった2008〜13年、日本は円高傾向でした。2011年の東日本大震災の時も円高が止まらず、10月31日には史上最高値となる1ドル=75円32銭となりました。
末廣さんは「円高が止まらないので、日銀が利下げをしました。ですが、もっと円高が進んで、さらに利下げをして、ゼロ金利になってしまったので、量的緩和をして、といった『為替との戦い』だけに集中させられるということを(日銀は)経験しています」と振り返ります。
その上で、現状を見ると、日銀が何もしないのと、少しだけ利上げをするのと、「どちらが良いかは結構、微妙です」と末廣さん。
「例えばアメリカはたくさん利上げをしていますが、経済がダメージをあまり受けていません。利上げが経済にどういう効果があるのかは、世界的によく分からなくなってきています」
住宅ローンに関して、アメリカでは固定金利が一般的で、利上げしてもあまり影響がありません。一方、日本では変動金利が最近は一般的で家計への影響が大きいため、末廣さんは「少しずつしか利上げできないと思います」と考察します。
