(ブルームバーグ):28日の日本市場では債券が上昇。米国の長期金利が低下した流れや日本銀行が実施した国債買い入れの結果が堅調で買い安心感が広がった。日米首脳会談で特段の悪材料が出なかった点もプラス。城内実経済財政相の発言などを受け、円は1ドル=151円台後半へ上昇。前日に日経平均株価が初の5万円を付けた株式は反落した。
みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは、米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の金融政策決定会合前の国債買い入れオペは売り圧力が限定的で、おおむね無難に終えたと分析。「中長期債は先物比でややスプレッドが拡大した一方、超長期債は15年債と20年債の需要が分かれた中で堅調を維持した」と言う。
日銀は28日に定例の国債買い入れオペを実施。対象は残存期間3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下、25年超で、買い入れ額はいずれも前回から据え置き。オペの結果によると、残存期間5年超10年以下、10年超25年以下の応札倍率は前回から低下し需給の引き締まりを示した。
債券
債券相場は上昇(金利は低下)。米債高の流れを受けて買いが先行し、午後に入り国債買い入れオペの結果を材料に先物はこの日の高値を更新した。
住友生命の増田光男執行役員兼運用企画部長は27日の下期運用説明会で、超長期金利について「高市政権の下で財政拡張懸念は一定程度抑制されており、ピークを打った可能性がある」と指摘。下期は超長期金利が「大きく上昇するとはみていない」と述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)
為替
外国為替市場の円相場は対ドルで151円台後半に上昇し、G10通貨の中で最も上昇率が大きい。米長期金利が低下し、日米金利差の縮小を意識した買いが支えとなった。円安の実体経済への影響に注意と城内経財相が発言したほか、ベッセント財務長官と片山さつき財務相が為替について協議と伝わったことも円買い要因。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、円は城内経財相の円安による経済への影響を注視していくとの発言を受けて買われたと指摘。「ユーロなどが上昇し、ドル売りの地合いになっていることも円の支え」と言い、「円安圧力は弱まってきている」との見方を示した。今月のG10通貨の対ドル騰落率を見ると、円は2%以上下げ、ワーストとなっていた。
午後に円高基調が強まった点については、三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は日米財務相の為替協議とのヘッドラインを材料視したと分析。前日の会談では日銀金融政策について話がなかったと伝わっていたため、「為替について協議したという報道があったことを受け、反応した」と述べた。
一方、三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、日米財務相会談の声明の話は「円買いのきっかけに過ぎない」と受け止める。今週は中央銀行の会合が相次ぐため、ドル・円が153円台まで上昇した後の調整という感覚で、「これをもってトレンドがつき、円高に回帰するとは思っていない」と言う。
株式
東京株式相場は反落。前日に日経平均が初の5万円大台に乗せたことで、目先の損益を確定する売りが優勢となり、為替の円高推移も嫌気された。
業種別では電機など輸出セクターの一角や化学や繊維など素材セクター中心に幅広く下落。直近の上昇が顕著だった建設株も安い。電機では特別注意銘柄の指定で日経平均から除外されるニデックが制限値幅いっぱいのストップ安。通期営業利益予想を下方修正したキヤノンも安い。33業種中、情報・通信のみ上昇。
フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、日経平均が5万円に乗ったことでポジションの巻き戻しが出たと解説。加えて、週後半に日銀の金融政策決定会合を控え、一部の投資家は慎重になっている可能性があると話した。
BofA証券の圷正嗣日本株チーフ・ストラテジストも、速いペースで上昇していたため、高値警戒感はあると言う。その半面、出遅れた海外投資家が焦って買っており、一種のFOMO(取り残される恐怖)が広がっていると指摘。日米首脳会談は想定通りトランプ大統領が高市早苗首相を好意的に評価している点で、今後相場の押し上げ材料になってくるとの認識を示した。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:アリス・フレンチ.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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