(ブルームバーグ):28日の日本市場では債券が上昇。米国の長期金利低下の流れを引き継ぎ、買いが先行している。日本銀行の定例国債買い入れオペも相場を支える要因だ。城内実経済財政相の発言を受け、円は一時1ドル=152円台前半へ上昇。前日に日経平均株価が初めて5万円を付けた株式は反落している。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは債券相場について、米長期金利の低下を受けたとの見方を示す一方、この日の日米首脳会談で円安けん制発言が出て、日銀がタカ派化することへの警戒感が上値の抑制要因と指摘。「一部で日本側が防衛費増額を米国側に伝えるとの報道もあり、利回り曲線はこれまでのフラット(平たん)化の反動が起こりやすい」と言う。
日銀は28日午前、定例の国債買い入れオペを実施する。対象は残存期間3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下、25年超、物価連動債で、買い入れ額はそれぞれ2800億円、3050億円、1150億円、750億円、500億円となる。
債券
債券相場は上昇。米債高を受け、先物が夜間取引で上昇した流れを引き継ぎ、買い優勢の展開だ。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、日銀は利上げをちゅうちょせず、財政悪化は限定的という相場の「逆高市トレード」も一服感があり、「日銀決定会合待ちの向きも多そうだ」と話している。
住友生命の増田光男執行役員兼運用企画部長は27日の下期運用説明会で、超長期金利について「高市政権の下で財政拡張懸念は一定程度抑制されており、ピークを打った可能性がある」と指摘。下期は超長期金利が「大きく上昇するとはみていない」と述べた。
為替
外国為替市場の円相場は対ドルで152円台前半まで上昇。米長期金利が低下し、日米金利差縮小を意識した買いが円を支えている。円安の実体経済への影響に注意と城内経財相が述べたことも円買いにつながっている。
SBI FXトレードの上田真理人取締役は、ドル・円は重要イベントを控えて上値警戒感があり、様子見になっていると指摘。「日米首脳会談で、防衛費増強や対米投資の具体化を求めてくる可能性もあり、そうなった場合リスクオフということもあり得るので、様子見姿勢も強い」と述べた。
株式
株式は反落。前日に日経平均が初の5万円大台に乗せたことで目先の損益を確定する売りが先行。日米首脳会談の内容を見極めたいとの姿勢も投資家の間で広がっている。
業種別では電機など輸出セクターの一角やサービス、卸売り、保険などが下落。電機では特別注意銘柄の指定で日経平均から除外されるニデックが制限値幅いっぱいのストップ安。通期営業利益予想を下方修正したキヤノンも安い。電気・ガスや海運、鉄鋼株は堅調。
フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、日経平均が5万円に乗ったことでポジションの巻き戻しが出たとみている。加えて、週後半に日銀の金融政策決定会合を控え、一部の投資家は慎重になっている可能性があると指摘した。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:アリス・フレンチ.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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