(ブルームバーグ):大手格付け会社S&Pグローバル・レーティングは、暗号資産(仮想通貨)ビットコインに積極投資する米ストラテジーに対し、ジャンク(投機的格付け)級の信用格付けを付与した。暗号資産への過度な集中や事業分野の狭さ、リスク調整後資本の脆弱(ぜいじゃく)性、ドル建て流動性の低さを理由として挙げている。
S&Pは27日の発表資料で、ストラテジーを投資適格級を6段階下回る「B-」の格付けとし、見通しは「安定的」だと明らかにした。
企業向けソフトウエア会社からビットコイン投資企業への転換を主導してきたストラテジー共同創業者のマイケル・セイラー氏は、これはビットコイントレジャリー企業に対する初めての格付けだとXへの投稿でコメントした。
S&Pのクレジットアナリストは、ストラテジーが保有する約740億ドル(約11兆3000億円)相当のビットコインに注目。これらは、社債や株式の発行で得た資金を通じて蓄積したものだ。
S&Pは、ストラテジーによる転換社債の「慎重な」管理を評価した一方、同社の債務構成を巡る流動性リスクについて懸念を示した。
ストラテジーは、転換社債と優先株を合わせて約150億ドルを発行してきた。そのうち50億ドル分のアウト・オブ・ザ・マネー(本質的価値がなく権利行使しても意味がない状態)の転換社債は、2028年以降に満期を迎える。同社はまた25年10月時点で年間6億4000万ドル超の優先配当を支払う義務を負っている。

S&Pは、ストラテジーの転換社債および優先配当について流動性リスクを強調している。
アナリストは、ストラテジーの転換社債が、ビットコイン価格に下落圧力がかかる時期と同じタイミングで満期を迎える可能性があると指摘。この場合、ストラテジーはビットコインを「低迷した価格」で売却するか、あるいは転換社債や優先株を再構成する恐れがありS&Pはそうした措置について「実質的なデフォルト(債務不履行)と見なすだろう」とした。
ストラテジー株は27日に2.3%高の295.63ドルで取引を終えた。年初来では2%上昇。ビットコインはこの期間に22%値上がりしている。
ストラテジーの担当者はコメントの要請にすぐには応じなかった。
原題:Saylor’s Strategy Is Tagged Junk by S&P in Initial Rating (1)(抜粋)
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