歴史的な円安ドル高が続いています。日銀が金融政策の現状維持を決定した後、4月29日には1ドル=160円を突破しました。しかし、その後は乱高下が続き、不安定な動きに。1ドル=230円まで円安が進むというAIの予測も飛び出す中、これからのシナリオを専門家に聞きました。
「日銀は為替の動きについていくことはしない」というメッセージ?
まずはドル円相場の変遷です。日銀の植田和男総裁の就任1年となる4月9日に円安が一段と進み、4月24日には「節目」とされていた1ドル=155円を突破しました。日本銀行が金融政策の現状維持を決定した4月26日には円安が加速し、瞬く間に、158円台となりました。これは、最近何度も聞く「34年ぶり」の円安ドル高の水準です。
その後、4月29日には160円まで進んだ一方で、数時間のうちに154円台まで急騰し、「為替介入があったのでは」という思惑も広がりました。
今後もこの円安傾向は続くのか。大和証券でチーフエコノミストを務める末廣徹さんは、日銀のホームページ上での金融政策の発表文がシンプルな1枚だったのに驚いたといい、「『日銀は為替のこの動き(=円安)についていくことはしない』というメッセージが強かったと思います」と読み解きます。
一方、日銀が金利を上げれば、少し円高に振れるという考えもありますが、末廣さんは「やってしまうと泥沼化する可能性もあるので、為替と金利の戦いには、日銀は乗らないというのが結論なのかなと思います」と分析します。
