県内41市町村の様々な魅力をお伝えする「わがまちLink41」、今回の舞台は北谷町です。北谷町出身の與那嶺啓キャスターが、町の新たなランドマークとなることが期待される「北谷町立博物館」を取材しました。
▼與那嶺啓 キャスター
「わがまちLink41、今回は北谷町伊平にあるこちら北谷町立博物館にやってきました。リゾート地のイメージを覆す様々な展示があるということで早速行っていきます!」
2003年、米軍キャンプ桑江の北側が返還。その後の調査で、貴重な埋蔵物が相次いで出土しました。戦前の集落名から「伊礼原遺跡」と呼ばれ、2010年には国指定史跡に。そして去年11月、町内初の総合博物館としてオープンしました。案内してくれたのは、学芸員の藤彰矩さんです。
▼與那嶺啓 キャスター
「おー!」
▼藤彰矩 学芸員
「いきなり雰囲気が変わるじゃないですか?初めての人でもタイムスリップした感じを持ってもらうために、照明を落としています」
北谷町立博物館のテーマは「縄文時代」。伊礼原遺跡をはじめ町内で発掘された約7000年前から2500年前の貴重な品々を中心に展示されています。
キュートなジオラマがお出迎え!自然豊かな2500年前の北谷を再現
当時の暮らしを再現したジオラマです。
▼藤彰矩 学芸員
「早速出てくるのが、こちら北谷の約2500年前の様子。博物館を中心とした地域の風景を凝縮した感じです」
▼與那嶺啓 キャスター
「人形の表情がすごくかわいいですよね。喋り出しそうな感じ」
力いっぱい網を引いて漁をする様子や、楽しそうにドングリを拾う様子など、リゾート地のイメージが強い北谷町ですが、かつては、自然の豊かな恵みを受けていたことを伺い知ることができます。
さらに、町内から出土した「イノシシの骨」からは、”あること”が推察できるんだとか―
▼藤彰矩 学芸員
「同じところ、左側が割れていますよね。今も昔も沖縄の人が大好きなアレじゃないですか?」
▼與那嶺啓 キャスター
「え、なに?……ソーキ?」
▼藤彰矩 学芸員
「そう!ソーキ汁の出汁をとっていたんじゃないですか?」
▼與那嶺啓 キャスター
「なるほど!そんなこともイメージできちゃいますね」
そして、”博物館のメイン”と謳うずらーっと並んだ「土器」。約5500年前からの北谷の人々の海を越えた交流の軌跡を辿ることができます。なかでも注目は、「亀ヶ岡系土器」です。
▼藤彰矩 学芸員
「何がすごいって、遠く離れた青森の影響が沖縄に海を渡って来ている。これが見つかるまでは奄美辺りで止まっていたんですよ」
「亀ヶ岡系土器」は2500年前のもので、東北地方の土器をモデルに、西日本で作られ、沖縄に渡ってきたとされています。
▼藤彰矩 学芸員
「県外との交流がどんどん広がっていたことが、北谷の遺跡から発掘したもので分かる大きな特徴ですね」
▼與那嶺啓 キャスター
「『人が集う場所』というところや、交流が盛んというところ、今も昔も変わらずあるということですね」
今後も人々が集い、町の様々な歴史や文化に触れる場所として、さらに盛り上げていきたいと藤さんは話します。
▼藤彰矩 学芸員
「多角的な視点から、北谷って実は今『縄文の町』で盛り上がっていると、みんなに伝わるイベントや企画を打ち出していきたいなと思っています」
博物館の外に隣接する「伊礼原遺跡」も見どころたっぷり!
返還地の名残りを感じる敷地の西側には、かつて暮らしの中心にあったとされる湧き水「ウーチヌカー」が今もあるんです。
周辺の発掘調査で、この一帯がマングローブ林だったことも分かったそうで、小川の周辺では、出土したサガリバナなどが植樹されていて、当時の雰囲気を再現しています。広場には、炉跡や住居跡なども今後整備される予定で、屋外でも古代の北谷を感じることができます。
北谷町を訪ねると、古の時代に思いを馳せることができる新たな博物館がありました。
【北谷町立博物館】
入館料 無料(1人あたり100円程の協力金をお願いしています)
場所 北谷町伊平1丁目11番1号
開館時間 午前9時~午後5時
定休日 月曜日・祝日・毎月第4木曜日(資料整理日)・慰霊の日(6/23)
12/29~翌年1/3
※伊礼原遺跡のエリアは、7月から一般開放予定。