米兵による少女暴行事件に抗議し開かれた県民総決起大会から21日で30年。大会をきっかけに沖縄を取り巻く環境や基地負担の状況は変わったのか。沖縄の今を見つめるシリーズ「あの怒りは今ー」の2作目は、相次ぐ米兵による事件をきっかけに始まった米軍による単独パトロールの実効性や課題について考える。
午前1時の沖縄市、ゲート通り。週末を楽しむ米兵や地元の客でにぎわうコザの街。そこを練り歩くのは、憲兵隊。相次ぐ米兵事件を受け、綱紀粛正を図ろうと、軍が行う ”パトロール” の一環だ。
ゲート通り周辺でのパトロールは、軍による性的暴行事件が相次いだことを受けて今年4月、当初日米合同で始まった。

▼米海兵隊太平洋基地司令官・ウォルフォード少将
「私たちにとって素晴らしい機会。ここは私たちの地域だから。みんなが安心していられるように、私たちは協力しなければならない」
このとき玉城知事は、「合同」パトロールに肯定的なメッセージを発している。
「関係者が一体となって地域を守る、市民を守る、県民を守るという強いメッセージを発信するものであり、防犯意識を高めるという点において大変意義深い」
ただ、合同パトロールは開始以降、実効性を問題視する声も多くあった。米軍はパトロールの頻度を増やそうと、県や市と調整したものの、地元側は対応職員を確保できず、調整が難航。そして軍は単独でのパトロール実施に踏み切った。現場を取材した神里記者の前を米兵が連行されていく。
「午前1時前です。規律に違反したとみられる米兵を憲兵隊が連行しています」
今月11日から4日間実施された単独パトロールでは、10人の米兵が逮捕された。逮捕の理由について、軍は憲兵隊が求めたIDの提示に応じなかったなど、軍法違反があったためだと回答した。軍による単独パトロールについて、地元からは様々な声が上がる。
タクシーの運転手:
「全然違いますね。金曜日が寂しい」
バーの従業員
「ピーク時間なんで。1時から4時って」
――やめてほしいのがゲート通り会としての考え?
「間違いないです。じゃないと生活できない。従業員抱えて、生活支えてるんで」
飲食店のオーナー
「アメリカの警察官って、日本の警察官より結構ハードな取り締まりしてるんで、そこは安心してます」
犯罪抑止に期待の声があがる一方、基地の外で米軍が「逮捕権」を行使することは、日本の主権を侵害する危険性をはらむ。課題が浮き彫りになったのが、今年8月の合同パトロール中に起きた海兵隊員による器物損壊事件だった。








