実の娘(25)に性的暴行を加えたとして、準強姦の罪に問われていた父親(54)の裁判。富山地裁は検察側の求刑通り、懲役8年の実刑判決を言い渡しました。

 判決を受け、娘は安堵の言葉を述べました。

 「まずはホッとしています」
 「まずは聞く前はすごくドキドキしていて、被告人が近くにいるのでそれも怖かったですし、ドキドキしていたんですが、始まって、有罪だというふうに述べられてほっとして、力が抜けて、やってきたことがここで終わって、認めていただいたっていう。それがもう本当に安心して、すごくほっとしたく力が抜けたという感じです」


▽被告側は無罪を主張していた

 富山県黒部市の元会社役員・大門広治被告(54)は、2016年に当時高校2年生だった娘の福山里帆さん(25)に日常的に暴力をふるい、抵抗できない状態と知りながら性的暴行を加えたとして、準強姦の罪に問われています。

 里帆さんはこれまでのMBSの取材に対し、「被害は中2から高2まで続いた。私が悲しんで苦しくても、頑張って自分の中にとどめれば、親族や家族は日常生活を送れると思っていた。きょうたまたま死ななかっただけで、死なない日を延ばして生きてきた」などと、被害の実態を実名・顔出しで訴えてきました。

 大門被告の裁判は去年12月に始まり、被告は「妻が不在の隙を狙い、あわせて8回ほど性交した」などと性行為自体は認めたものの、「逆らえない状態ではなかった」と起訴内容を否認。

 また、自らとの性行為について「里帆さんは興味があった」とも述べていました。

 弁護人も「被告の誘いを里帆さんが無視して断る時もあった。準強姦罪は成立しない」として、無罪を求めていました。

 一方、里帆さんも被害者参加制度を利用して裁判に参加。法廷で、「父の手を払いのけたがやめてもらえず、性行為に及んできた。終わった後は母に言わないようにと口止めされ、時には5000円や1万円を渡してきたこともあった。絶望的で人生が終わったと思った」などと証言。“日常的に暴力を受け、恐怖で抵抗できなかった“という旨を涙ながらに述べていました。

 検察側は「拒否できなかった里帆さんの恐怖と絶望は筆舌に尽くしがたい」と、懲役8年を求刑。

 富山地裁は10月21日の判決で、大門被告の「自分との性行為に興味があった」という主張については、「実の父親との性行為を積極的に望んでいたはずがなく、不合理極まりなく、信用できない」と一蹴。里帆さんが当時「抵抗不能な状態だった」と認定しました。

 そのうえで「自己の性欲を満たすための、卑劣かつ悪質な常習的な犯行」と糾弾し、検察側の求刑通り、大門被告に懲役8年の実刑を言い渡しました。