沖縄・石垣島と西表島のみに生息する猛きん類「カンムリワシ」。王者の風格漂うカンムリワシは、2つの島に200羽ほどしかおらず、国の特別天然記念物に指定されている絶滅危惧種です。
水田が広がる石垣市・名蔵地区。取材班が、カンムリワシの生態に詳しい野鳥愛好家・中本純市さんと待ち合わせをしていたところ…
――こんにちは、中本さんですか?
▼野鳥愛好家・中本純市さん
「まずあそこの幼鳥を撮ってください」
田んぼのあぜ道に佇む白い影。なんと取材開始早々、カンムリワシの幼鳥に出会いました。
「去年生まれた幼鳥ですね。まだ(羽毛が)真っ白で。4月後半から5月になれば成鳥の黒い羽にだんだん変わっていくので、今が一番最後の綺麗な時期ですね」

幼鳥の時期の美しい姿を「綾羽(あやぱに)」と呼ばれるカンムリワシを、野鳥愛好家の中本純市さんは17年間、ほぼ毎日観察を続けています。(「あやぱに」は石垣島での呼び方)
中本さんは、今では目やくちばしの模様で個体識別もできるようになり、そのおかげで謎に包まれた生態が少しずつ明らかになってきました。そのひとつが行動範囲の狭さです。